前川製作所、太陽光を使って冷却
三菱樹脂のゼオライト系吸着剤で実現
効率は従来の２〜３倍と驚異的
前川製作所は世界で初めて、ゼオライト系吸着剤を使い、太陽熱を利用して冷却する新型吸着式冷凍機の安定稼働を実現した。
長野県の健康福祉施設が導
入した1号機
新型機は三菱樹脂のゼオライト系吸着剤「ＡＱＳＯＡ」（アクソア）を使った点が従来型との大きな違い。“シリカゲル”を使った従来型に比べて冷却効率がよく、２〜３倍の冷水を作ることができる。これまで効率が悪いため使われなかった80℃以下の排熱も利用できるため、太陽熱を使った冷房装置が可能になった。もちろん、これまで活用されなかった工場排熱を使うことも可能。
第１号機を導入した長野県の健康福祉施設では太陽熱を利用している。
吸着式冷凍機の仕組みは、液体が蒸発する時に周りの熱を奪う性質を利用したもの。通常は水を使う。真空中に水とシリカゲルをおくと、シリカゲルが水を吸おうとするので、水が蒸発して冷媒（通常はこれも水）を冷やす。水を吸ったシリカゲルは熱によって乾燥させるが、その熱に、利用されていない工場の排熱などを使えばエコに役立つ。機械的な圧縮機を使わないのでＣＯ２排出もほとんどない。一般的な空冷チラーと比較した場合、新型機は64％もＣＯ２排出量を削減できる。
一般的な吸着式冷凍機は吸着剤を大量に使うが、アクソアは吸着効率がいいので、シリカゲルを使用した場合に比べると、冷凍機ユニットの重量を44％も削減できるなどのメリットもある。
前川製作所はＮＥＤＯの委託事業「太陽エネルギー新利用システム技術研究開発事業」の一環として同装置の開発を手がけていた。