日本水産は秋の新商品で、衣の吸油を抑えた冷凍「あっさり衣のえびリッチカツ」を市販用に発売する。衣に油が入り込みにくい特殊技術を生かした。主原料のえびは、中国産バナメイとベトナム産ホワイトピンクを全体の42％使用、世界中から食材を調達する“グローバルリンクス”を生かした提案。
市販用冷食市場で売れ筋の「大きな大きな焼きおにぎり」は、おにぎりをトレイに対して立てて置いていたものを横置きに変更することで、パッケージ全体の厚みを減らして薄型のパッケージにスリム化し、包材の使用量を減らした。
また、おにぎりのトレイ底部に凹凸を加えて浮き上がるように改善したことで、レンジ加熱した際に蒸気がおにぎりの下を通り抜けるようになり、レンジ加熱してもおにぎりの表面がパリッと仕上がるように改良した。
横置きしたおにぎりは、横のままレンジ加熱してもいいが、今回はトレイの淵を改良し、立てて置き直しても倒れないようにした。これにより、レンジ加熱の際、電磁波がより均等に通る。
業務用のスーパー惣菜売場向け「えびグラタン」と「野菜グラタン（ラタトゥィユ）」はフローズンで出荷・流通し、要冷蔵で店頭販売する。60億円を投じて建設中のハチカン（青森）新工場で生産する。
また、天洋食品事件以降、国産の自然解凍アソート品に対する需要が急増しているため、モガミフーズ（山形）にラインの増設を決めた。
細見典男常務（食品事業統轄）は「中国製を含めて、当社が関与している工場と製品には100％の安全安心の自信を持っており、中国産品はまったく否定しないが、（天洋事件以降）消費者から中国産商品はなかなか認めてもらえない。自然解凍のアソート商品についても、国内産に対し、生産能力を大幅に超えるオーダーが殺到しているため、生産するモガミフーズは青息吐息状態が続いている」と語る。
そこで10月をめどにモガミフーズのラインを増強する。増強する内容などは今後詰める。
冷凍食品市場では「ひじき」、「ほうれん草」、「切干大根」など複数のメニューを小さなトレイにそれぞれ詰め、１袋にセット（アソート）する商品が、弁当のおかずや食卓のもう１品メニュー、酒のつまみ、高齢者家族の食卓惣菜として人気があるが、複数の商品を小分けして合わせる複雑な作業工程と、豊富で数多くの素材を必要とするため、これまでは食材と労働力が確保できる中国で加工、生産することが普通だった。