伊藤忠フレッシュの改善事例 −2−
  チルドまぐろのすき身ラインを改善

――伊藤忠フレッシュ(株) (センター経営改善担当) 西川隆雄専務

 当初、静岡センターはコンベアによる分業作業のムダを小杉先生から指摘された。

 しかし、先生の改善手法が生鮮品に通用するか懐疑的だったセンター側は、長年問題なく続けてきたコンベアの撤去に反対だった。
 従ってコンベア生産をしていないチルドの「まぐろ」すき身の生産ラインから改善を始めた。

 当時の工程は図のようになっていた。

 改善前は2つの部屋に分かれていた。

 まず、冷蔵庫から出した「まぐろ」をスライサーにかけ、計量し、色出し作業を行い、添加物をかける。
 次に、それを隣の部屋に運び、計量、トレー詰めを行い、ラベルをつけ、金属探知機を通したものを梱包していた。
 全てが分業で、10名で作業していた。

 先生が最初に提案したのが、「屋台生産」への切り替えだった。
 当時は2m×1mの大きなテーブルで、計量する人、トレーにつめる人、製品の並べ替えをする人、ラベラー担当者と分業していた。それをコンパクトな「屋台方式」に切り替え、分業をやめた。

 これによりスペースが空いたので、2つの部屋で生産していたのを1つの部屋に集約することが出来、従業員は7人に削減できた。

 改善を始めたばかりのころは、何がムダなのか、どこにムダがあるのか全く見えない状態だった。先生にいわれるままに「屋台方式」に切り替えたが、「ああ、これが屋台なのか」と思う程度だった。

 実際に切り替えてみて、大きなテーブルがなくなって1つの部屋で出来るようになり、人が減っても何の問題も起きずに生産できたことで、やっと「ああ、これが改善か」とはじめて実感できた。