当初、静岡センターはコンベアによる分業作業のムダを小杉先生から指摘された。
しかし、先生の改善手法が生鮮品に通用するか懐疑的だったセンター側は、長年問題なく続けてきたコンベアの撤去に反対だった。
従ってコンベア生産をしていないチルドの「まぐろ」すき身の生産ラインから改善を始めた。
当時の工程は図のようになっていた。
改善前は2つの部屋に分かれていた。
まず、冷蔵庫から出した「まぐろ」をスライサーにかけ、計量し、色出し作業を行い、添加物をかける。
次に、それを隣の部屋に運び、計量、トレー詰めを行い、ラベルをつけ、金属探知機を通したものを梱包していた。
全てが分業で、10名で作業していた。
先生が最初に提案したのが、「屋台生産」への切り替えだった。
当時は2m×1mの大きなテーブルで、計量する人、トレーにつめる人、製品の並べ替えをする人、ラベラー担当者と分業していた。それをコンパクトな「屋台方式」に切り替え、分業をやめた。
これによりスペースが空いたので、2つの部屋で生産していたのを1つの部屋に集約することが出来、従業員は7人に削減できた。
改善を始めたばかりのころは、何がムダなのか、どこにムダがあるのか全く見えない状態だった。先生にいわれるままに「屋台方式」に切り替えたが、「ああ、これが屋台なのか」と思う程度だった。
実際に切り替えてみて、大きなテーブルがなくなって1つの部屋で出来るようになり、人が減っても何の問題も起きずに生産できたことで、やっと「ああ、これが改善か」とはじめて実感できた。