第１四半期の有力企業の決算が相次いで発表されている。食品メーカーは原料高に利益を食われ、大幅減益が目立つ。大手食品は国内が不振でも海外でこれまで稼いできたが、今期は国内外とも苦戦が目立つ。機器・施設・設備関係も原料高の影響を受けている。
味の素の第１四半期の連結売上げは0.9％増3014億2200万円と前期より25億円の増収となったが、原料高の影響で営業利益43.4％減79億6300万円、経常利益31.1％減102億4700万円、純利益は前期に比べて固定資産売却益の減少もあり56.6％減37億5200万円と大幅減益だった。
主力の国内食品事業は68億円増(4.5％増)の1585億円だが、営業利益は15億円減(68.5％減)の６億円。冷凍食品事業で天洋事件によりギョーザ、エビシューマイ、エビピラフ、具だくさん五目炒飯などの主力品が影響を受けており、売上げは前年同期を下回った。業務用冷凍食品は食材値上げやガソリン高で外食需要が減少したが、大手需要家との取り組みが奏功し増収を確保した。
海外事業事業も増収減益だった。
通期では売上げ4.6％増１兆2725億円〜5.0％増１兆2775億円、営業利益7.4％増650億円〜15.7％増700億円、経常利益9.4％増610億円〜18.4％増660億円、純利益6.3％増300億円〜16.9％増330億円の範囲で予想している。
マルハニチロＨＤの第１四半期は、売上高が2285億円（前年同期1828億円）、営業利益60億8400万円（同42億8300万円）、経常利益61億7500万円（同49億1600万円）とニチロ統合効果により増収増益となった。しかし、子会社の神港魚類が販売に関与した冷凍ウナギ蒲焼の産地偽装事件と、その後の使用禁止抗菌剤の検出によって将来発生する可能性のある商品在庫と回収経費６億7000万円を含め、在庫関連の損失11億0400万円を特別損失として計上した結果、純利益は21億5600万円（同26億6000万円）と前期実績を下回った。
水産セグメントは売上高1499億円、営業利益48億円。北米事業でスケソウダラ製品の価格調整が進み順調に推移。漁業･養殖事業、水産商事事業、戦略販売事業も堅調だったが、荷受事業は刺身用マグロ類の取り扱いが減少した。
食品セグメントは売上高719億円、営業利益22億円。主・副原材料のコストアップや天洋食品問題の影響による冷凍食品の売上げ低迷が長引き「厳しい事業環境になった」としている。特に中国産を敬遠する動きが続き、中国を主産地とする冷凍野菜の販売が不振だった。冷食以外で機能性ゼリー、特保ＤＨＡ入り魚肉ソーセージ、畜産などが好調だった。
保管物流事業は中国産加工品の搬入減で売上高36億7000万円、営業利益１億9800万円にとどまった。
通期では売上げ10.1％増9300億円、営業利益46.1％増190億円、経常利益91.4％増140億円で純利益25億円を確保する見通し。
日清食品の第１四半期の連結は減収増益となった。主力ブランド品の価値訴求とオープン価格の導入、共同開発製品の強化などの政策が奏功して、値上げによる販売数量減を想定範囲内に収め、退職給付関係費用や主原料コスト増によるマイナス要因を吸収し、営業利益は10.3％増と二ケタ増益を達成した。通期予想に変更はない。
冷凍食品は高付加価値製品「冷凍日清スパ王プレミアディナー」や具付き「冷凍日清スパ王」シリーズを中心に堅調な売上げを記録した。
ヒューテックノオリンの第１四半期の連結売上高は4.7％減77億5500万円、営業利益25.3％減３億9000万円、経常利益22.2％減４億3200万円、純利益22.0％減２億5200万円と減収で大幅減益を強いられた。
連結子会社�螢悒襯謄�ーの政策的な事業縮小分を、同社長野営業所の今年５月からの新規稼働でカバーし切れなかったことに加え、前期は連結子会社だった�蠢看清�同流通を売却したことなどにより減収。利益面でも連結子会社の事業縮小、売却等による売上げの減少、また東京臨海支店第二センターの立ち上げにともなう経費負担増などにより、減益を余儀なくされた。
松田産業の第１四半期連結売上げは27.8％増582億円、営業利益40.7％増38億7000万円、経常利益42.2％増40億3800万円、純利益43.6％増24億4100万円と大幅な増収増益となった。
貴金属リサイクル事業でリサイクル原料の回収が概ね好調を維持し、貴金属製品の販売数量が増加。金、銀、プラチナなど貴金属の価格が高値で推移したため増収となった。製品在庫の評価方法変更で従来基準に比べ、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益が５億7200万円増加している。
食品関連は、食品原料の調達困難が続き、販売数量は減少したが、水産・畜産品を中心に売上高は増加した。
ミヨシ油脂の中間（１〜６月）期連結決算は主力のマーガリン、ショートニングをはじめ全製品で価格改定と経営全般にわたるコスト削減を進めた結果、売上高が20.8％増255億4100万円と大幅増収、営業利益は8400万円と前年の３億3100万円の損失から黒字に転換、同様に経常利益8900万円、中間純利益１億3100万円と黒字転換を果たした。
ただし価格改定の浸透が油脂原料価格の上昇速度に追いつかず、収益面では改善が見られるものの、依然厳しい状況が続いているという。
食用油脂事業は製パン、製菓、即席麺業界向けのマーガリン、ショートング、粉末油脂等の販売がバターや乳製品の品薄による代替需要で堅調だったが、原材料価格の高騰で収益面では厳しい状況が続いた。価格改定の一方、製造費、物流費、在庫管理の徹底等、総合的なコスト削減も進めた。
東洋製作所の第１四半期は自然冷媒を使った設備、省エネ機器の開発と拡販に努め、受注高は57億8800万円となったが、連結売上げは9.7％減27億7100万円にとどまり、原材料高などにより、営業損益２億9500万円の損失、経常損益２億7500万円の損失、純損益３億0300万円の損失と厳しい結果となった。
同社事業は受注物件の引き渡しが年度末に集中するため、例年第１四半期は売上げが低水準になる。一方で販管費は通年均等に発生するため、第１期は利益率が低い傾向がある。
エンジニアリング事業10億6100万円、営業損益３億2500万円の損失、機器事業17億0300万円、利益2800万円、ほか。通期では売上げ7.4％増240億円、営業利益8.3％減４億2000万円、経常利益15.0％減３億3000万円を見込み、純利益は59.7％減となるが最終的に１億9000万円を確保する見通し。
東洋エンジニアリングの第１四半期は30.3％増1000億1000万円、営業利益68.8％増33億2800万円、経常利益44.4％増34億7400万円、純利益105.4％増23億7500万円と大幅増収で大幅増益を果たした。
前期以前に受注した大型案件が進んだ。プロジェクト関係の受取利息による収入も加わって利益改善した。総合エンジ事業では中南米、西南アジアなど各地の石油化学、エネルギー関連大型案件が進み、売上げ989億円、利益28億円を稼いだ。国内の一般製造設備関連は期首繰越工事費が90億7400万円、期中受注が11億5800万円、期中完成工事費が15億9600万円だった。
通期では売上げ2.3％減3200億円とわずかに減収となるものの、営業利益155億円、経常利益160億円、純利益85億円を確保する見込み。
昭和炭酸の第１四半期連結売上げは2.6％増65億7500万円、営業利益53.9％増１億2900万円、経常利益16.8％増１億5600万円、純利益58.3％増１億0100万円と大幅増益を果たした。
炭酸ガスは食品冷却用が低調、ドライアイスは食品輸送向けに伸び、事業全体では1.5％増33億9400万円と伸びた。一般ガスは国内で冷媒ガスが低調、タイの子会社を加えたことで11.7％増15億5100万円に。
通期では売上げ4.6％増277億円、営業利益５億4000万円、経常利益６億7000万円、純利益３億4000万円の確保をめざしている。
ＡＤＥＫＡの第１四半期連結売上げは4.9％増481億9800万円と増収だったが、営業利益11.5％減33億5100万円、経常利益13.7％減35億9800万円、純利益17.2％減20億1500万円と大幅減益を強いられた。
原材料高騰とデジタル家電関連製品の下落が響いた。
食品事業は19.2％増138億9000万円、利益385.9％増５億8400万円と大幅改善を果たした。市場は需要が低迷したが、品種統合や生産、物流効率改善がコスト削減になり、バター不足のニーズに対応した新製品も伸びた。エンジニアリング部門、物流関連は5.9％減17億7200万円、利益27.7％減8800万円と振るわなかった。通期では売上げ2000億円で増収、営業利益152億円、経常利益148億円、純利益82億円はそれぞれ減益ながら確保をめざしている。