コシヒカリの課題を克服した新品種

 富山県は富山米のブランド力の強化に向け、「コシヒカリ」を超える新品種を開発した。
 同県の主力品種コシヒカリはおいしさで高い評価を得ているが、高温になると米が白く濁る未熟粒が発生しやすく、草丈が長くて倒れやすい、いもち病に弱いなどの課題があった。

    左:富富富 右:コシヒカリ
   夏が高温でも米が白く濁りにくい

 課題を克服し、おいしさを最大限に発揮できる品種を育成するため、県農業研究所では2007年度から研究に取り組んだ結果、昨年度までに約3000個体の中から、夏の高温でも高品質で、草丈が短く、いもち病に強い特性をもった3系統を選抜した。さらに今年度、現地栽培試験と食味評価を踏まえて、最も優れている1系統を選抜した。
 味の面では日本穀物検定協会の食味官能試験や、富山米新品種戦略推進会議での料理人や専門家の意見などで、うま味、粘り、香りがよく、全体的な食味のバランスも優れると評価を受けた。

名称は「富富富」

 新品種の名称を決めるため、昨年10月29日から約1か月、一般公募を実施した。県内外から延べ9411点の応募があり、その中から、農業関係者や、コピーライター等の専門家の意見を踏まえ、「富富富」(=ふふふ)に決定した。
 東京都内のホテルで名称発表と試食会を3月26日行った。参加者からは「毎日食べても飽きが来ず、特に若い世代に好まれそう」、「軽い味わいもあって、子どもや女性にも受けがよいと思う。名前もよく合っている」など、好評を得た。
 同県では「来年秋のデビューに向け、今年度は全国のお米マイスターのいる米穀店や料理人など、多くの人に評価してもらうと共に、県内外で試食会や先行販売を実施するなどPRに努めたい」とコメントしている。