新冷凍解凍技術披露、“乾燥水ミスト”がカギ

 新しい冷凍・解凍の特許技術「クールノヴァ」(CN)を説明するセミナーが東京築地市場で31日開催された。新技術を開発したノルウェーのトロムソ大学のトルビョルン・トロンドセン教授が来日して説明。同氏と親交が深い政策研究大学院大学の小松正之客員教授が通訳を務め、セミナーをサポートした。

講演するトロンドセン教授(右)と小松客員教授

 CNは乾燥水ミストを利用した冷凍・解凍技術。共同創設者としてトロンドセン氏がドイツで立ち上げたクールノヴァUG社が国際特許を取得した。フランスやノルウェー、中国、中東など各国でCNを使った解凍試験が行われており、「高い評価を得ている」という。
 同氏は解凍性能の高さを強調。「解凍後のドリップロスがなく、重量変化が少ない。品質や味、におい、見た目は冷凍前の新鮮な状態が保持している。乾燥水ミストの噴霧により、対象物表面の湿度均衡を保ち、ドリップの原因となるたん白質の変性や分解を起こさない。解凍時に表面のpH値を7前後に保つことで保水力を高める効果がある」と説明した。
 CNは冷凍・解凍時の鮮度・品質保持能力だけはなく、水やエネルギー使用量などのランニングコストの低さも特徴の1つ。1000kgの食品の解凍に使用する電力は10.5kw。ほかに「レストランから食品工場まで、規模を問わず柔軟に対応できる」ことを利点に挙げた。
 CNは魚の鮮度落ちによる損失が30〜40%減り、ドリップロスは通常の解凍より3〜10%減らすことができる。「旬の魚を冷凍・解凍して提供すれば、年間を通じて新鮮な魚を売ることができる」と水産業界の課題解決に貢献できることをアピールした。