ＭＦ21が世界初、養殖マグロで浮沈式を実証化
マリノフォーラム21は2010年度クロマグロ安定供給推進事業（水産庁補助金）の成果報告会を30日開催した。
「クロマグロ養殖効率化技術開発事業」では、世界でも初めてとなる浮沈式の養殖マグロ生簀（直径50ｍ）を実用化させたほか、へい死魚の回収装置、自動網洗浄ロボットの改良、海況データなどのトータルシステム開発の状況を報告した。
開催にあたり、マリノフォーラム21の井貫晴介会長は「２つの事業は10年度で終了するが、11年度はクロマグロ養殖効率化技術開発事業が５カ年事業の４年目として継続され、さらに養殖クロマグロの人工餌料開発をめざす事業に丸紅飼料と共に応募しており、近々内定される見通しだ。来年の３月には、この２つの事業報告が出来ると予想している」と語った。
荒天時に水深10ｍに潜水
クロマグロ養殖効率化技術開発事業では、大洋エーアンドエフ、日東製網、古野電気が参加し、愛媛県柏島で行なっている。報告はＭＦ21の吉田儀弘開発部長が行った。この事業目的は、現在、未利用の波浪の厳しい外湾など海象条件の海域に対応可能な生簀及び関連施設の開発を行なう。08年度には直径30ｍの浮沈式生簀を08年秋に設置、この成果を踏まえて09年度には直径50ｍの１号基を09年秋に設置。さらに10年度には直径50ｍの２号基を10年秋に設置している。このうち、直径50ｍの１号基には2000尾のクロマグロが飼育されている。浮沈式の生簀はバルブ操作により、８区画のフロ−トタンク部分に注水と空気送風で水深10ｍのところまで沈下させる。従来の浮沈式生簀は「自然排気方式」であったが、今回、給排水をポンプで行う「段階式注水沈下法式」を採用。フロートタンクの片側から給排水を行うため、生簀は50分の１の傾斜で斜めになりながら沈下浮上を行う。沈下時間は22分となっている。
10年度では�々渋ぁ柄犧遏砲鬟轡鵐廛襪砲垢襦�ホースの本数を減らす。��誰でも簡単・確実な浮沈操作が出来るメンテナンス性の向上を図る。��ホースな太さや流量を定める――としている。
へい死魚の回収、自動洗浄などシステム開発も
一方、10年度には、生簀管理装置として、へい死魚の回収装置として、市販のＲＯＶ（潜水カメラロボット）にチリトリ型のタモ網を取付け、改良と実験を重ね完成させた。また、配合餌料の給餌システムや生簀網洗浄自動化システム開発を行った。洗浄自動化システムでは、ヤンマー製の手動式の洗浄ロボットを改良し、１人で２台を操作、しかも自動化、作業スピードは1.5倍にアップした。さらに各種モニタリングシステムの開発として、波高データ、環境データを携帯電話とパソコンから閲覧できるようにしたほか、体長を自動測定できるようにステレオカメラによる魚体測定などを報告した。
