インテリジェンス機能を備えたスチコン
デジタル技術で厨房の最適化を実現

 業務用厨房機器のグローバルメーカー、RATIONAL(ラショナル、本社ドイツ)は4つのインテリジェンス機能を備えた新型のスチームコンベクションオーブン「iCombi Pro」をこのほど発売した。

 新型コロナの影響でテイクアウト市場は国内外とも需要が拡大しており、厨房の作業負担を軽減するスチコンの重要性が増している。新機種はデジタル技術を使って生産性や効率性、柔軟性を高め、「経験豊富なシェフのように反応」(同社コーポレートシェフ)して、厨房の最適化を実現する。

 インテリジェンス機能の1つ「iCooking Suite」の最大の特長は、庫内に投入した食品のサイズや状態、投入量をセンサーが認識し、このデータに基づいて最適な調理ルートを決定すること。調理の進行状況に応じて温度や庫内環境、風速、調理時間などの調理パラメーターを個別に自動調整し、焼き色の濃さなどあらかじめ記憶した調理プロセス通りに仕上げることができる。

 希望の仕上がりは途中で変更できる。独自の風味を追加したり、調理時間を短縮したりする。焼き色の濃さも簡単に変えられるなど柔軟性は高い。

 デジタル技術は焼き色の認識も可能にした。同社の「デジタル・カスタマー・ソリューション」チームは食品の褐変反応の化学式である「メイラード反応」を根拠に、どのようにして焼き色が出現するかを解析し、アルゴリズムを開発した。

 ユーザーは調理中にスチコンを制御したり、監視したりする必要がない。時間と原材料とエネルギーを節約でき、食材の種類や分量を問わず、いつでも高品質な調理を実現できる。

インテリジェンス機能を備えたスチコン「iCombi Pro」は“業務厨房の新基準”をうたう(右奥)

生産性50%向上、調理時間は10%短縮

 「iCombi Pro」にはこのほか、最適な温湿度調整を行う「iDensity Control」、複数の料理をどのタイミングで調理すればいいのか効率的な調理計画をサポートする「iProduction Manager」、調理の段取り替えに必要な中間洗浄をわずか12分の高速で行う「iCare System」のインテリジェンス機能を備える。

 同社によれば、従来機種に比べて生産性が50%アップするほか、調理時間は10%短縮、水と電気のエネルギー消費量は10%削減するという。そのうえで優れた均一性を確保する。

 RATIONALグループのDr.ペーター・シュターデルマンCEOは「個人の調理能力に依存することなく、高い品質を保つことができ、 仮に料理人でなくても、非常に多様な料理を完璧に作ることが可能だ」と語る。