国内外で緊急改革 雇用対策推進、計測器事業でも

 アンリツは次期以降の収益性改善に向けた緊急経営施策を実施する。経営環境の変化で計測器事業などの収益性の抜本的な改善が急務だと説明している。
 雇用構造改革として国内では希望退職者の募集、非正規社員の契約更新見送りなどの人員削減、役員報酬の減額幅拡大、賞与水準の見直しの人事施策に着手。またワークシェアリングを実施する。海外ではアメリカの子会社での人員削減に加え、フランスの子会社の計測器製造・開発拠点を整理し、日本への業務移管で対策する。
 人員削減でグループ全体(08年12月31日現在、3928名)の5%ほどの従業員の減少を見込んでいる。対象者に対して支給する特別退職金は当期で特別損失として10億円を計上、業績予想に織り込み済みだという。

国内生産体制を統合

 4月1日に子会社の東北アンリツを分割会社とする吸収分割を行なう。東北アンリツが担う計測器事業の製造、検査と開発事業のうち本社との間で重複する機能を吸収分割により統合することで、経営と人的資源の有効活用を図り、国内計測器事業のさらなる効率化を目指す。
 今回の組織再編で、本社(神奈川県厚木市)に所在する生産機能の主要部門を、4月1日付で新設する郡山事業所に移転する。計測器事業の生産機能を担う東北アンリツと連携した体制を構築する。

第3四半期決算、苦戦

 アンリツグループは計測器事業で「利益ある成長」戦略を再構築する「経営革新2008」のもと、収益性改善と競争力強化の施策を推し進めてきた。成長市場のロシアに拠点を開設したほか、LTE向けの研究開発用計測器などの新製品を市場投入した。
 産業機械事業では食品の安全安心へのニーズが高まるなか、タイに開発・生産子会社を設立し現地生産を開始するなど、海外での事業展開の強化を図ってきた。
 しかし第3四半期決算は、主力の計測器事業が設備投資抑制や投資先送りの動きが顕著となり、日本での需要減少と円高も大きく影響し、売上げは620億2900万円(前年同期比13.5%減)と前年同期を下回った。営業損益は5億3200万円の損失(前年同期は27億2300万円の利益)、経常損益も15億4000万円の損失(前年同期は27億2300万円の利益)だった。
 セグメント別では産業機械事業が世界的な景気減速を受けて顧客に設備投資抑制の動きが強まるものの、食品の安全・安心意識の高まりによる異物検出機などの検査設備への需要が総じて堅調に推移したと同社ではみている。売上高は96億3200万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は海外の事業展開強化に伴う費用増などにより、1億7400万円(前年同期比68.0%減)となった。
 産業機械事業は子会社のアンリツ産機システムが事業を展開している。