品質保持に優れた新型フリーザー登場

 水産物を高品質で保持することで注目されているテクニカン(山田友彦社長)のリキッドフリーザーがマルハニチロ水産の養殖カンパチ加工場(鹿児島県垂水市)に導入された。この加工場は垂水市漁協が所有しており、マルハニチロ水産が同漁協に業務委託して使用。現在HACCP対応に改良している。

 マルハニチロ水産は養殖カンパチを凍結して海外輸出や国内流通させるため、凍結機器について検証していた。テクニカン社のリキッドフリーザーは細胞内水分を約5〜3ミクロンとほぼ原型のまま凍結させ、他社製品に比べ高品質を保持できると結論を出し、同社の機器を導入した。
 テクニカンは、冷気ではなく冷たい液体アルコールの中に製品を入れて凍結させる新技術を27年前に開発。数時間かけていた凍結作業を数十分に短縮させた。通常のエアーブラスト凍結では氷の結晶が100〜200ミクロンに対し、リキッドフリーザーは凍結速度が速いため数ミクロンになり、肉や魚の細胞破壊を防ぐことに成功した。
 山田社長は「解凍時のドリップがなくなり、限りなくフレッシュな状態に戻すことができる。味、食感、見栄え、歩留まり、全てに効果がある」と話す。
 リキッドフリーザーという言葉を生み出し、日本、米国、欧州などで特許を取得。世界中で800〜900台の納入実績を持ち、業界シェア率90%以上を占める。

 食肉業界や外食産業にも広く普及しているが、さらに水産業界へも進出し、刺身用商材を高品質のまま凍結できるとして注目されている。日本だけでなく、世界各国から日本へ水産物を輸入する際に、テクニカン製のリキッドフリーザーが活用されている。
 米国産のヒラメ、フィジー産のマグロ、アラスカ産のエビ、イスラエル産のフォアグラ、タスマニア産のアワビなどを凍結し輸送させるため、それぞれオファーを受けて機器を納品した。
 「海外の購入者に長年使用して頂けるようにメンテナンスはほとんど必要なく部品も少なくした」と、山田社長は長年販売し多くの信頼を得ているリキッドフリーザーに自信を示している。

テクニカンの新型フリーザー