生肉のスチーム殺菌も可能、小容量のIH過熱蒸気発生装置

 富士電機は加工場や調理場向けに殺菌処理用の小容量IH過熱蒸気発生装置「IHSS−05」を開発した。大規模の工場やプラントに使用する既存の大容量タイプに加え、外食やスーパーなど小さなスペースに設置できるよう、ラインナップを充実させた。

「IHSS−05」

 同社が得意とする工業電熱の誘導加熱(IH)技術を用いて、過熱蒸気を発生。過熱蒸気は飽和蒸気をさらに昇温し、高温でスチーム処理できるため、滅菌、加熱、焙煎、脱脂、焼成など食品分野や工業分野の様々な用途に活用できる。
 装置内部にある基幹部を一体化するワンスルー方式により、熱ロスを極力小さくする構造にし、93%の高効率を実現した。従来のボイラ方式は効率が約30%だったのに比べ、大幅な省エネが可能となる。
 また、ワンスルー方式で過熱蒸気を発生させるため、従来のボイラ方式では「飽和蒸気の生成」と「過熱蒸気の生成」の2段階過程が必要だったものが、1つの過程で生成できる。コンパクトサイズを実現したことで、店舗などの狭小スペースや蒸気利用機器に隣接して設置できる。
 新設計により伝熱面積を大きくすることで、冷間時起動から450℃の過熱蒸気発生まで25分で立ち上がる。従来のボイラ方式は立ち上げに1時間以上かかっていた。
 生成する蒸気は450℃という高温。このため空間温度は400℃以上になり、生肉の殺菌をドライで短時間処理、不活性雰囲気での焙煎、リサイクルの脱脂やプラなど有機物の分解、炭化など、様々な用途で利用できる。
 圧力センサーや漏水センサー、地震センサーを付属し、安全性を確保。簡易貫流ボイラに適合した構造のため、ボイラ免許は不要で導入しやすい。初年度は20台の販売をめざす。