日本に上陸間もない包装機、フル稼働
銚子東洋(2)

 銚子東洋は主力の鮭フィレ製造設備を改築したのを機に、包装ラインも一新した。日本に紹介されて間もないドイツ製深絞り真空ガス置換包装機の最新機種を導入し、処理量とスピードのアップを図った。

塩も厳選、「沖縄の塩シママース」を使用

 鮭フィレの製造工程。原料の鮭を解凍後、すべてのヒレをカットしてフィレマシンで半身に卸す。今まではバンドソーでカットしていたが、新規導入したフィレマシンは丸刃でカット、いわば包丁の刃が回っているようなもので、身の切断面もシャープに安定している。
 その後の洗浄の工程では、1枚1枚ていねいに水洗いする。
 洗浄後、塩で味付けし、形状・身色・鮮度などをもとに厳しい基準で等級を分類する。原料となる鮭はもちろん、塩も厳選。天日塩を沖縄の海水で溶かし、平釜でじっくり煮詰めた「沖縄の塩シママース」を使用し、ビタミンC以外の添加物は使っていない。「シママースはカリウムやマグネシウム、鉄分などミネラル成分がバランスよく含まれ、ただしょっぱいのではなく、“カド”がとれた、まろやかな辛さ」(山田社長)と評価する。
 甘口、中辛、辛口と味の種類に合わせて塩分濃度を調整し約24〜72時間、5℃のチルド室内で塩水に漬け込む。新工場はこの一連の工程をコンピュータで自動管理している。

自動倉庫で熟成したのち、次の包装工程に進むものだけを取り出している
操作はボックスに割り当てた番号を入力するだけ

 今回の改築で包装工程も一新した。改装には品質の向上はもちろん、処理量とスピードのアップを図りたいという切実な思いがあった。
 導入したのはドイツ・シールパック社の最新型の深絞り真空ガス置換包装機。通常の金型は一度のオペレーションで2個(1×2列)包装するが、同機は4個(2×2列)を真空包装するように改良した。これで生産量は倍になるのだが、それだけ金型も大きくなってしまう。ここで金型を動かす速度が遅くなってしまっては、生産量も従来通りのままとなる。
 だが、ポイントはそこにある。同機の最大の特徴は大きくなった金型でも従来通りのスピードで回転させられる強固な作りのため、包装速度は落ちない。処理量の向上という、思い描いていた包装ラインが実現した。

シールパック社の深絞り真空ガス置換包装機

一度に4個を真空包装する

急速凍結で鮮度保つ

 真空包装後は凍結へ。この工程には−40℃のトンネル式フリーザー(毎時2t能力)を導入し、従来以上の急速凍結を実現した。凍結時間は40分、今までのバッチ式では1時間以上かかっていたため、時短につながる。
 凍り始めてから凍ってしまうまでの時間が短ければ短いほど、魚体内の細胞は壊れず、うま味も逃げない。この「最大氷結晶生成帯」をフリーザーにより約15分で通過させ、一気に急速凍結することで鮮度を保っている。
 冷凍機には環境に配慮し従来のフロンガス使用から自然冷媒を使用する装置に切り替えた。同装置は省エネに優れ大幅な電力量の削減に繋がっている。
 凍結後、コンピュータスケールで1枚ずつ計量し、すばやく選別。枚数を確認して封函へ。「自動印字システムを導入し、最後の要である“商品名”、“入り数”、“賞味期限”、“ロットNO”などを自動印字し、商品の信頼性の確保につなげている」(山田社長)と語る。(次号へ続く)

急速凍結により、「最大氷結晶生成帯」を15分で通過できる

コンピュータスケールで計量し、選別

 フードエンジニアリングタイムス(FEN)2013年11月27日号掲載