<タイシリーズ第2弾>
タイ味の素の冷食開発部門と連携
タイ味の素冷凍食品

 タイ味の素冷凍食品(AFT)は技術系の日本人スタッフ1名を増員した。小林匠AFT社長は「スタッフ増強を工場の基礎レベル向上につなげる。製品の品質もボリュームも上げていく」と語っている。

   リニューアルしたクリスピーギョーザ

 AFTに、生産工程の改善などを担う技術系スタッフの高田浩司氏が2018年10月着任した。高田氏はAFTだけでなく「タイ味の素ベタグロ冷凍食品、味の素ベタグロスペシャリティフーズもフォローするエンジニアとして着任した」(小林社長)。
 AFT工場長は小林社長が10月から兼務している。副工場長はタイ人のタナワット氏。「タナワットはAFT入社歴15年で、副工場長に6年ほど前に就いた、これまで日本人が担当してきた権限を少しずつ委譲していき、彼と会社の成長につなげていく」(同)。
 前工場長の上野正幸氏は10月から、開発・品管ゼネラルマネージャーを務めると共に、タイ味の素社の冷食開発部門マネージャーを兼務している。
 タイ味の素社の冷食開発部門は昨年7月に立ち上がった。タイ外食市場向けの製品開発に特化し、上野氏の下で開発をスタートしている。

ギョーザ、から揚げとも出荷安定

 AFTはギョーザ用1ライン、『「味からっ」やわらか若鶏から揚げ<じゅわん鶏もも>』等を生産するから揚げ用2ラインの計3ラインがある。工場の従業員数は、生産合理化により前年比約1割減の720名(2018年11月現在)となっている。リストラではなく、自然減により従業員数を減らした。
 から揚げ生産実績は月間平均550t。出荷先は主に日本。家庭用、業務用を合わせ前年並の出荷数量となっている。ギョーザの出荷も安定している。
 ギョーザの生産実績は月間平均240t。出荷先は欧州とアジア。
 「欧州にもAFT製ギョーザの根強いファンがいる。使用している原料の品質が高い等、製品品質の良い点が評価されている」(小林社長)。
 AFT製品の出荷先国・地域比率は日本65%、欧州27%、アジア8%。アジア内構成比はタイ40%、シンガポール30%、香港20%、韓国10%。「アジア内では韓国向けが前年よりも増えた」(同)。

豚肉を使わない「揚げギョーザ」発売

 AFTはタイ国内向け製品の業務用「クリスピーギョーザ」を9月からリニューアル発売した。油調調理を第一インストラクションとしている製品。改良前は中具の肉に豚肉と鶏肉を使っていたが、鶏肉のみ使用に改良した。
 ハラルではないが「鶏肉だけを使い、イスラム教徒も抵抗なく食べることができるようにした。観光立国のタイで、インバウンド需要をねらう」(小林社長)。
 “揚げ”調理のため食感が軽く、調理の手間もかからない。また皮の配合を改良し、従来品よりクリスピー感を向上させた。こうした利点がホテルビュッフェ等のユーザーから好評を得ている。従来は焼きギョーザを中心に販売してきたが、今後、揚げギョーザの販売にも注目していくという。

(左から)小林社長、サラワン取締役、タナワット副工場長、上野ゼネラルマネージャー、高田氏