焼きおにぎりラインを一新　品質向上さらに推進
ニチレイフーズ　船橋工場��

　ニチレイフーズの船橋工場（千葉県船橋市、芝昭彦工場長）は主力の焼きおにぎりラインの大幅なリニューアルを２月に行なった。昨年末は太陽光発電システムを完成、廃熱交換機（エコノマイザー）を設置、２月末〜４月初めには米飯工場と資材倉庫の屋根の遮熱塗装を更新するなど、このところ積極的な設備投資の動きを見せている。

　焼きおにぎりラインは成型から焼き、包装工程までを一新した。ラインに案内されて、すぐに変化を感じたのは「香ばしい匂い」。記者が前回、昨年の12月に訪問した際と比べて明らかに違う。いい香りが一段と増し、工場内を覆っていた。
　その秘密は「素焼き」にある。洗米、炊飯、成型した米は醤油をつけて「焼き」を行なうが、醤油をつける前の「素焼き」の工程が重要。今回の更新ではその加工時間と加熱温度を変更した。この素焼きの微妙な加減が、次の醤油付けの焼き工程に反映し、味の決め手の一つとなっている。

　米の貯蔵室には静電気毛髪除去機を設置した。昨年のテストでは米の中から１〜２本の毛髪を検出した。「入室前の作業服チェックなどこれまでも万全の態勢で臨んでいるが、万が一に備えるため」に貯蔵室内にも除去機を設置したという。
　米の移動は貯蔵室から浸漬タンク、炊飯器、蒸らしの工程、成型とすべて自動。炊飯器は70器を備えている。休むことなく炊飯と機器の洗浄を繰り返しており、流れるようなラインの様子は同社の技術の高さを物語っている。炊飯器は20年近く稼働しているライン内の「最年長」で、主力商品づくりに貢献してきた。「充分役目を果たしてきた。年数を考慮しても、近いうちの更新を検討している」という。

炊飯ライン　米を平らにしている

炊飯ライン　休むことなく炊飯と機器の洗浄を繰り返す

醤油をつけて片面づつ焼く

片面を焼いた後は裏面を焼く　おにぎりがひっくり返る様子は見学に来た児童たちの人気ポイント　

フリーザーから出た焼きおにぎり　工場内は多くの女性スタッフが活躍している

トレーレス包装、好発進

　包装はトレー包装を止めて、ピロー包装に一新した。日産27万個を誇る焼きおにぎりはトレーもかなりの量をこれまで必要としていた。しかし、消費者は調理加熱した後、トレーを廃棄しなければならない。主力商品のトレーレス包装の試みは環境負荷低減の一歩でもあり、一つの挑戦。
　消費者の反応も気になっていた。２月の更新稼働に先立つ１月末に、ピロー包装の試作品を関東圏の店舗数件で販売した。主婦らを中心に消費者の反応はよく、トレーレス化に手応えを感じたという。自信を持って２月の本格販売に至った。トレーレスできる商品は今後も変更を検討していく方針という。

包装を一新　この後は箱詰めへ