冷蔵倉庫ナンバーワンのノウハウを応用
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代表取締役社長 川口 政之氏
ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングは、冷凍冷蔵倉庫、低温物流センター、食品工場の設備設計施工やメンテナンスを通し、グループ内外の低温物流事業を技術面から下支えしている。前身の東洋工機にニチレイロジグループのエンジニアリング部門を統合し、07年４月にニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングとしてスタートした。北海道、東北、東海、関西、九州に事業拠点を有する。従業員は131人。業務比率はニチレイ75％、外部25％。
川口社長
――社長として３年目。いよいよ脂が乗ってきた時期。
川口 我々のような技術屋集団の特徴なのかもしれないが、一人ひとりが自分の仕事に責任と誇りを持っています。かけがえのない「人と地球環境の未来」を守り、科学と自然が調和した豊かな社会の実現に貢献したいと思っています。今後も省資源、省エネルギー、省力、安全、高品質など様々なニーズを解決するために、長年にわたって培ってきた技術を幅広く応用していきたい。
――庫腹量約130ｔと国内トップの実力を誇るニチレイロジグループだが、ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングの役割は。
川口 施設のメンテナンスを主体としたエンジサービス、ニチレイ以外の仕事や大型工事に対応するプラント・マーケティング（ＰＭ）、そのほかＰＣセンターのレイアウト設計などが主。荷物のハンドリングがしやすいよう、物流を考えたレイアウトの提案が特徴になっています。
――今後の事業の方向性は。
川口 ニチレイロジグループの国内庫腹量が約130万ｔ。今後はＰＭでどこまで伸ばせるかが企業拡大のカギを握ります。外部に打って出る上で“ニチレイ”の冠は武器にもなるが、既に基盤を確立しているグループ外の大手の仕事は回ってきにくい。逆に地方の中小では“ニチレイ”に対する信頼と安心感があります。ここに可能性、広がりが期待できます。
――物流を考えたレイアウトとは。
川口 端的に言えば、荷捌き室の広さ。庫内も入出荷を重視する意味から４パレットはまずない。大抵は２パレ、多くても３パレ。例えば横浜市にあるキョクレイ山下物流センターのチーズ保管庫は、わずかな温度帯の違いで熟成の度合いに微妙な差が生じることから小部屋が多くなっている。一般の冷凍食品でも３パレが限度。ピッキング、扱うモノによってレイアウトを考えるというのが基本です。
――業界では冷媒に関心が高いが。
川口 キョクレイ山下はフロン冷媒（Ｒ404Ａ）を採用していますが、それ以降に新増設する大阪北港、福岡・東浜、川崎・東扇島は環境にやさしい自然冷媒のアンモニアを採用します。もちろんキョクレイの場合でもアンモニアでもいいのですが、山下公園に隣接している立地条件を考慮した選択です。
――エネルギー効率・低コストも求められる時代だ。
川口 ニチレイロジグループで最も多い温度帯にはアンモニアが理想だが、それより低いマイナス30〜35℃になるとアンモニアでは無理。イニシャルコスト、ランニングコストの両方を考慮した上で効率の良いほうを選びます。
――冷蔵倉庫にとって物流品質は欠かせない要素だが。
川口 その通り。汚い冷蔵倉庫では荷物が集まらない。それには照明も大切。ニチレイロジグループでは100ルクス以上、さらに小口の場合では200ルクス以上、軽作業が伴う場合は300ルクス以上という規定があります。衛生、清潔感は重要な要素であり、１階の荷捌き所は陽圧状態にすることで結露対策と、外部からの虫の侵入なども防いでいます。段ボールが濡れた段階で弁償を求められるのが今の常識であり、それが欠品につながれば荷主からの信用も大きく損なうことになります。荷捌き室を陽圧にし、庫内を明るくすることは様々なメリットがあるわけです。
（かわぐち・まさゆき）1953年（昭和28年）12月15日、東京生まれ。早大理工学部で電気工学（主にモーターの制御）を学んだ根っからのエンジニア。76年に日本冷蔵（現ニチレイ）入社。白鳥工場、神戸ポートアイランド、高槻の物流センターなどの現場を経験した後、関東・関西の冷凍支社に勤務。本社低温流通企画部で生産性改善のシステムづくりに携わる。その後４年間はオランダの海外事業経営にも従事した。