サメ100% ふんわり食感の「手造りはんぺん」、農水大臣賞を受賞

 柳屋蒲鉾店(東京都目黒区、柳下勝美社長)が製造するサメを原料にした「手造りはんぺん」が全国蒲鉾品評会で農水大臣賞を受賞した。
 受賞した「手造りはんぺん」は原料にサメを100%使用。はんぺんの命とも言えるふんわりとした食感はサメの肉を使用しないと出すことが難しいという。原料コストは高くなるが、同店ではサメにこだわり、目玉商品として手軽な価格で販売している。

サメ100%のはんぺん

 ふんわりした食感を生みだすヨシキリザメと、はんぺんならではの味わいを出すアオザメを絶妙なバランスで混合している。
 フワフワの食感を出すために、サメの肉と、山芋、卵白などを石うすですりあげて、空気を含ませる。この作業を「浮かす」と呼ぶが、「原料の状態やその日の気温などに合わせて浮かせ具合を微妙に調整する」と柳下篤氏。
 さらに重要なのが、はんぺんをゆでる時の温度。湯の温度は85℃前後がベストだが、はんぺんを鍋に浮かせるとフタをかぶせた状態となり、湯の温度が上昇する。そのため、差し水をしながら細心の注意を払ってゆで上げなければならない。
 同店の「手造りはんぺん」は、中央を山高く盛った山型をしているのが特徴。木枠を使い、ていねいに手作業で成形しながら、はんぺんを湯に投入する。 
 「湯の温度調整と成形を同時に行うため、2人がかりでないと作れない」(篤氏)。父・勝美社長と息子の篤氏が二人三脚で製造している。

 同店は卸売りは行わず、店頭での直売のみ。販売するねり物は、おでん種などに使われる揚げ物が主体。「いか天」、「さつま揚」、「えび天」、「うずら巻」などのほか、ひと口サイズの「野菜ボール」、「いかボール」、「しょうが揚」など様々な形・サイズの揚げ物が20種以上並んでいる。
 「手造りはんぺん」は「つみれ」、「いわしだんご」、「なると」などと一緒に販売している。はんぺんの原料となるサメのスジや軟骨を使った「手造りすじ」もおでん種の定番として人気が高い。
 品評会に出品した「手造りはんぺん」は篤氏いわく「合格点の中でも満点に近いほど最高の出来だった」。
 手造りはんぺんは1枚、税別230円。同店は武蔵小山駅から徒歩で10分、平和通り商店街の一画に店を構えている。