令和元年は食品ロス削減のスタート年になる?

 食品ロス削減に向けた官民の取り組みが本格化し始めた。議員立法の「食品ロス削減推進法」が今国会で5月24日成立した。国や自治体に、食品ロス削減の施策策定を努力義務として課すとともに、企業にも積極的な取り組みを求める内容になっている。毎年10月を食品ロス削減月間とし、10月30日を食品ロス削減の日に設定した。さらに食品ロス削減推進会議の設置も定めた。
 環境省によると2016年度の国内の食品ロスは約643万tに上る。このうち規格外や返品、売れ残り、食べ残しなどの事業系は352万t。事業系は前年から5万t減らしたが、高止まりが続いている。こうした中、コンビニ大手が動き出した。 

ファミマ、冷食拡大でロス削減へ

   ローソンの食品ロス削減プログラム
   「Another Choice」シール

 ファミリーマートは、おせちやクリスマスケーキの完全予約制、中食のロングライフ商品化を図るほか、冷凍食品売場を拡大する。9月までに4000店の売場を通常の1.5倍の品揃えに拡大し、売上高を50%引き上げる。売場拡大に伴う費用は約44億円。
 季節商品のおせち、クリスマスケーキ、恵方巻は完全予約制にして廃棄ゼロをめざす。今年7月から実施する。
 ローソンは食品ロス削減プログラム「Another Choice」(アナザーチョイス)の実証実験を愛媛県と沖縄県で6月11日〜8月31日実施する。朝昼に納品されるおにぎりや弁当など「Another Choice」のシールが付いた商品を対象に、夕方4時以降に購入すると合計金額に対して100円あたり「ponta」5ポイントを還元する。さらに、売上金額の5%を子育てや子どもたちの食事支援を行う団体などに寄付する。
 セブン-イレブン・ジャパンも売れ残りが迫る弁当などで購入者に「nanaco」ポイントを還元する取り組みを検討している。
 セブン&アイHDが5月8日に発表した環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の中では、2030年までに食品ロスを発生原単位(売上100百万円あたりの発生量)で2013年度比50%削減する目標を打ち出した。パートナー会社のプライムデリカがセブンのサラダ用の野菜工場を今年1月から稼働しており、歩留まりの大幅改善で食品ロス削減に取り組んでいる。

カルビー、ポテチの賞味期限2カ月延長

  消費期限を1日延長したサラダクラブの
  「千切りキャベツ」

 賞味期限延長の動きも広がる。カルビーはポテトチップスの賞味期限を2カ月延長し6カ月に、ポテトチップスクリスプ(筒型)を1カ月延長し13カ月にする。併せて「年月日」から「年月」表示に変更する。6月1日製造分から順次対応する。原料や保管、製造方法で工夫を試み、期限延長を実現した。
 キユーピーのグループ会社でパッケージサラダを製造販売するサラダクラブは洗浄技術を改良し、主力商品の「千切りキャベツ」と「同ビッグパック」の消費期限を4月出荷分から1日延長した。加工日に加えて5日間とした。特許技術の「野菜にやさしい製法」に改良を加え、野菜のダメージをより抑える洗浄技術を確立した。
 セブン‐イレブン・ジャパンは、5月から発売している「いなり寿司」や「助六寿司」でシャリの製法を見直し、販売時間を平均約8時間延長している。