木村哲郎氏「生鮮プロセスセンター製造商品の安全・安心」連載開始
木村哲郎氏はニチレイのミートパッキングセンターで開発に携わった経験をもとに、生鮮プロセスセンター（ＰＣ）の生産性を高める方策を指導している。木村氏は、ＰＣに多くの納入実績がある平井カンパニーのセンター関連アドバイザーなども務めている。
シリーズ「生鮮プロセスセンター製造商品の安全・安心」――。今号から連載がスタートする。
（きむら・てつお）1972年日本冷蔵（現・ニチレイ）入社。関東営業支社、四国支社畜産課、中国支社水産課、九州支社畜産課を経て、1982年９月本社畜産部勤務、開発輸入や管理業務に携わる。1998年(株)ニチレイティーピーセンター出向（代表取締役社長）、2000年本社畜産部（企画グループリーダー）、2001年（株）ロジスティック・オペレーション出向。2007年３月退社、翌年４月木村オフィスを開業、現在に至る。
生鮮プロセスセンター製造商品の安全・安心 −１−
はじめに
木村氏
木村哲郎と申します。明治大学の農学部を1972年卒業し、日本冷蔵に就職しました。面接で畜産事業の希望を伝えたところ、当時の会長が目を細めて喜んでおられました。当時は好んで畜産業界に就職を希望する人は少なかった時代です。
1996年まで畜産営業として高松、松山、広島、博多と転々とし、主に輸入畜産素材の販売を行なっていました。
1996年某大手スーパーの生鮮プロセスセンター（ＰＣ）の話があり、ＰＣ事業の世界に入りました。
既存のＰＣに研修生と一緒に入り「製造技術」、「受発注システム」、「採用・労務管理」、「品質管理」など、一からの学習でした。教科書もマニュアルもあるわけでなく耳学問、失敗の経験を積み重ね、幅広い知識を習得しました。当時はスライスは丸刃スライサーの時代であり、労働集約型の事業でした。
旧世代型のＰＣを３つ立ち上げましたが、採算を合わせることは至難の業でした。
その後2002年に別の大手スーパーのセンター計画が始まり、センター計画提案コンペがあり「基本商品を規格書どおり作り続ける」という単純なコンセプトで採用されました。東北、静岡、四国、関西の４カ所のセンターの立ち上げを行ないました。
その頃から、食品の安全・安心が厳しくなり、異物混入、偽装表示がたびたびビッグニュースになり始めていました。
そこで、その当時の経験を思い出しながら皆さんにお伝えし、少しでもお役に立てればと考えています。
精肉ＰＣ商品での事故の実例と対策
（１）安全で安心できる商品とは下記の商品と考えます。
・十分な衛生管理と品質管理に基づいて製造されている商品
・原材料や添加物そして表示が遵法（コンプライアンス）である商品
○食品衛生法
○ＪＡＳ法
○計量法
○公正競争規約
（２）食品の安全安心の重要性
・消費者に安全で安心して食べてもらえる製品を製造することは、非常に大切なことです。食中毒を起こしたり、異物混入があったりしては、製品の信用とともに、製造した企業の信用を落とすことになります。
・原材料の虚偽表示や産地偽装は法律で罰せられますが、製造者はこの業界から退場となり、取引先、顧客から相手にされなくなります。
（３）2011年の食品全般の回収事例（社告）抜粋
（出展：独立行政法人 国民生活センター）
�＿鷦�内訳
��表示違反による回収
�Ｉ兵蘇堽匹砲茲覯鷦�
次回はリコール回収の一番多かった表示と異物混入について解説します。