ソースファクトリー１年目でソース売上げ６割増に
春雪さぶーる（札幌市、松本信社長）は次代の主力商品として力を入れている冷凍ソースが好調に売上げを伸ばしている。昨年12月、早来工場敷地内にソースを生産する「ソースファクトリー」を新設して自社生産を開始。前３月期もソースの売上げを拡大したが、今期（24年度）のソース売上げは61％増の６億8000万円を見込んでいる。
ソースファクトリー
２万8403�屬良瀉呂鮖�つ早来工場に昨年完成したソースファクトリーは鉄骨１階建て（一部２階）、床面積1622�屬函�既存のソーセージファクトリーや生ハムファクトリーとほぼ同じ規模。現在は年間750ｔの生産能力だが、設備を増強すれば2000ｔに拡大することもできる潜在能力を持つ。
ソースの生産量は当初、初年度（24年度）400ｔ、25年度500ｔを計画していたが、初年度の今期は計画を上回る530ｔ（前年比63％増）を見込んでおり、当初の想定以上に好調に推移している。
ソースのバリエーションは主力のジェノバペーストをはじめ、アメリケーヌ、バーニャカウダ、デュクセル、ポルチーニなど。今年も新製品を加えた。色彩や香りの点でレストランなどのプロの料理人の目にかなう品質レベルが大きな特徴。
「ユーザーのレシピ、要望にあったソースをお客様と一緒に開発するのが当社の売り方」（同社）というように、ソースファクトリーにはキッチン付きのプレゼンルームを設置しており、開設以来、顧客がひっきりなしに訪れているという。プレゼンルームからは窓を通して工場内の生産現場を見学することもできる。
販売先のすそ野も広がっている。ピザ、コーヒー、サンドイッチなどのチェーン店や量販店などにハーブソースを中心としたソースが相次いで採用されている。商品開発の要望も少なくない。
「最近の面白い事例は、白身魚や鶏肉をバジルオイルに漬け込んで売る小売店が出てきたこと。外食だけでなく惣菜にもニーズがあり、これからも期待できる」（同社）。
冷食は水産減少も独自分野好調
工場内を見学できる設備も
同社の前期売上高は107億円（前年比0.3％減）。このうち冷食売上げは42億円だった。前年比９％減となったのは水産品の減少による影響が大きい。ほたて、いくらなどの漁獲は減少傾向が続いている。以前からの顧客に供給はしているが、利益的にも厳しいカテゴリーとなっている。
そこで、利益重視の構造改革を進める同社は独自性の強い分野に力を入れている。
農産分野では、エクアドル産ブロッコリーが２ケタ近い伸びを続けている。他社が扱う中国産が減って販売価格が高くなっていることから、同社の南米産凍菜は人気が高まっている。
アスパラガスも好調という。特に無加熱摂取ブロッコリーは使いやすさから学校給食やコンビニ、ファストフード等幅広い業態に広がっている。
北海道産にこだわったスイーツも回転ずしチェーンをはじめ各業態に導入が進み、着実に売上げを伸ばしている。
一方、前期の「ハム・デリカ」売上げは7.9％増60億円と全般的に好調だった。相模ハムとの連携強化により、国内シェアトップの主力製品である早来工場の生ハムは関東地区を中心に拡販することができた。大手量販店向けＯＥＭ商品のリニューアル効果もあり、大きく伸びた。
ハム・ソーセージ類も内食や中食の需要増などからベーコン、ウインナー群が好調に推移した。コスト面では、相模ハムと共同で原料仕入れを行なうなど、原価低減を図り、経常利益は前年に続き上昇した。
相模ハム合併で今期159億を
プレゼンルームも完備
今期は全般的に前年と同様の状況で推移しているが、大きく異なるのは今年７月１日付で相模ハムを吸収合併したこと。このため、今期の売上高は50億円ほど増加し、159億円を見込んでいる。連結ベースで相模ハムの売上げは４％増。
経常利益は15％増の８億5100万円を見込んでいる。
合併により相乗効果も出ている。今後も人的資源、生産技術、研究開発や販売ルートなどの経営資源を結集し、より効率的に活用することで業容の拡大を図る。
具体的には、ハム類はローカルブランド戦略を展開する。北海道の「春雪」ブランドと、神奈川を中心に市販用として知名度の高い「サガミハム」ブランドを最大限に活用する。相乗効果による業務用の拡大も今後見込める。
「さぶーる」ブランドの冷凍食品は南米産ブロッコリーなどを中心とした農産品、自社生産の優位性を生かしたソース類に傾注し、さらなる販売拡大と市場創造を進める。
春雪さぶーるは今年２月にＩＳＯ22000の認証を取得した。さらなる安全面の強化を進めている。