水揚げ直後に活き締めして加工品に
弓ヶ浜水産（２）
弓ヶ浜水産の本社工場は海に面した立地。接岸した出荷用生簀からダイレクトに生きた魚をくみ上げ、直ちに１尾ずつ活締めする。これが魚の肉質に大きな付加価値を与えている。活締めからわずか10分ほどで製品になる。
境港サーモンのフィレ商品
ギンザケはドレス（頭、鰓、内臓を取り除いたもの）やフィレ（ドレスをさらに三枚におろしたもの）に加工する。活締めした魚は工場に搬入し、機械で頭と内臓を取り除く。ひれは回転刃を手に持つ作業員が切り落とすが、その後はまた機械で三枚に卸し、皮をはいで、不要な小骨を手作業で取り除いて真空深絞り装置で包装する。
いずれも「境港サーモン」のブランドで販売している。
主力品の実境港サーモンは今年度1000ｔの養殖を見込んでおり、早期に年間2000ｔを実現する計画。設備の有効利用のため、昨年からマサバ、ブリなどの養殖の取り組みも開始している。
加工事業は、境港サーモンの加工が２ラインで１日最大２万4000尾（約48ｔ）。３〜６月の水揚げシーズン内に2000ｔの原魚を加工できる能力を持つ。付加価値のとれる生食用フィレが中心だが、冷凍ドレス用に凍結庫を２基導入しており、�昌�間で28ｔの凍結能力を持つ。
さらに、共和水産とも連携して、養殖・天然の水産原料を仕入れて加工する。生産能力は定塩フィレが日産10ｔ。真空包装とバルク品の２種類が可能。
骨なしフィレは年間248ｔ。今のところ、完全な骨なしはあまり生産していない。ピンボーンを取り除くにはある程度時間がかかる。そのためせっかくの鮮度の優位性をいくらか犠牲にする必要があるからという。骨なしはピンボーン抜き機、残骨検査用のＸ線検査機でピンボーンの排除を徹底している。
切り身は年間280ｔ。自動切り身機の導入で高い歩留りと定貫性を実現した。
このほか、天然魚を年間140ｔ、かにを年間200ｔ加工できる。工場には開発検査室も設置している。
境港サーモンは付加価値のとれる生食としての販売がほとんど。量販店が70％、外食店向けが30％ほど。地元の名産品として境港サーモンのブランドも浸透し始めているという。
食べてみれば一般品との差は歴然で、しこしこした歯ごたえは鮭の刺身と別物かと思うほど。
100％１尾ずつ活け締めしているため身のしまりが持続する。
日本海の荒波育ちであることや、山や河からの栄養と海が交じり合う美浦湾の環境が境港サーモンをさらにおいしくしている。
ドレス加工した境港サーモン
ひれを切りおとす
小さな骨を取り除く
深絞り包装
【弓ヶ浜水産の概要】
［設立］ 2013年12月16日
[代表取締役社長] 鶴岡比呂志
［従業員］ 70名（2013年４月１日現在）
［事業所］ ▽本社工場 鳥取県境港市竹ノ内団地205番地
▽本宮養魚場 鳥取県米子市淀江町本宮
▽福原川養魚場 鳥取県倉吉市関金町明高
▽養殖部中野漁具倉庫 鳥取県境港市福定町