東洋製作所は冷蔵・冷凍食品に採用されている主な冷却・凍結方式を実験できる「食品プラント研究室」を大和工場内に開設した。食品の冷却・凍結実験に関する機能を充実することで、ユーザーの実験依頼や立ち合い希望に対する受け入れ能力を高める。ユーザーの高付加価値製品や差別化製品の開発に向けた取り組みを支援して、冷凍・凍結関連製品の提案営業力を強化させる。
冷凍食品、魚肉、アイス、練り製品などの急速凍結が
必要なものまで幅広く実験対応できる
施設面積は従来の研究室の約3倍。食品冷却・凍結室と精密測定室、食品研究室に、打合せ用のミーティング室を加えた4ブロック構成とした。各種実験機材を充実させることで、実験時の作業効率を改善するとともに、来訪者が和みのある雰囲気を感じられるようにした。
実験設備は庫内+10〜−50℃に対応。風速は毎秒0〜30mで高風速まで対応できる。これにより、一般に市販されている冷凍食品をはじめ、魚肉、アイス、練り製品などの急速凍結が必要なものまで幅広く実験対応できるようになった。
研究室は、技術者とユーザーが冷却・凍結に関する多様なニーズに迅速に対応した研究開発に取り組めるほか、冷凍・凍結・加熱などの試験を通じて仕上げたサンプルを開発できる設備を導入した。より高品質な冷却・凍結を目指す食品や低温分野での新製品の研究開発スペースとして活用する。また、精密測定室には、冷却・凍結後の品質を詳細に評価するための機材を揃えている。
食品冷却・凍結室に導入した模擬冷却・凍結装置は、サーモウェーブ式、スパイラル式、バッチ式など、市場に出ている主な冷却・凍結装置の方式を網羅した実験が可能。温度や風速などを任意に調節することで、その食品に最適な冷却・凍結方法を模索でき、より高品質な冷却・凍結装置の提案ができる。ミーティング室の新設により、実験と打合せの間にあった移動時間の解消につながる。
同社はユーザーの依頼による冷却・凍結実験を年間50件以上(2009年度実績)受託しており、関連設備の新規受注にもつなげている。調理・冷凍食品業界や水産加工食品業界では製品の高品質化に力を注いでいるが、特に大手食品生産工場や大手PB商品の生産工場では、高品質の商品開発に相当額を投資している。「このようなニーズを食品実験室の有効活用を通じて掘り起こし、ユーザーにマッチした設備提案を積極的に展開していく」(同社)としている。