ロボ技術生かし、食品機器に参入
冷凍コロッケ箱詰めもロボット化
東洋機器工業�蝓‖緝充萃�役社長 藏本武彦氏
大阪と姫路に工場を持つ東洋機器工業は今年で創業90年。当初は塗装業を手掛けていたが、50年程前からコンベヤなど搬送機器のＯＥＭ製造を開始。搬送機器プラスロボットシステムを設計・開発する技術主導型企業に。近年は食品業界向けロボットに力を入れている。
藏本社長
――食品工場向けのロボットシステムを志向した経緯は？
藏本 これまでコンベヤ＋ロボットシステム等の技術を蓄え、大手物流センターやハウスメーカー、自動車関連メーカーにＯＥＭで納入してきました。その後、医薬・製薬・食品業界向けにも展開し、近年は特に食品業界様からの自動化要求が強いことから事業の重点を移しています。レトルト殺菌釜の前後のローダー・アンローダーシステムを手掛けた折は、機器のユニット化、標準化を行い、大変好評を得ました。
――自動化、ロボットシステムを開発から設計まで手掛ける。
藏本 単に今までコンベヤの設計・製作をしていたのではなく、得意先のニーズに合わせた自動化システムを提供し、制御システムを含め内製してきた技術力が強みです。前述のローダー・アンローダーシステムも開発当時に比べると、非常にコンパクトに進化を続けています。
――ロボットアームは部品であって、自動化に重要なのはその周辺機器であり、搬送の前後工程だと、御社の機械を見てわかった。
藏本 ロボットは単体では仕事をする事が出来ません。物を掴むハンド、視覚装置、ロボットへ物を運ぶというトータルのシステム構築が必要となります。
レトルト釜から出た製品を自動で整列させるアンローダー
――食品自動化は難しい。
藏本 関西の大手スーパーのセントラルキッチンでは、裸の冷凍コロッケの整列、箱へのビニール袋セットを含めた箱詰めシステムが喜ばれています。今まで冷凍コロッケの様な衣の付いた裸製品のハンドリングはロボットシステムでは困難でした。
――技術以外にも壁がある
藏本 食品業界のロボット化はハンドリングだけではなく、人が何気なくこなしている検査工程などを付加していく事が要求されています。単なる２次元の視覚だけではなく、３次元、あるいはＡＩを使った認識技術の融合が必要です。当社だけでは解決出来ない問題を、それぞれ技術を持ったパートナーと協業し、より良い自動化へと進化していきたいと考えています。今の技術でできる自動化の提案はもちろん、自動化しやすいレシピへの見直し等も含めた環境整備の打ち合わせが非常に大切だと考えています。
東洋機器工業本社
（くらもと・たけひこ）チャレンジ精神旺盛と自認する。東海大学を卒業後、名古屋の製薬会社で４年。その後父親が出資するシンガポールの会社で１年、家業に。平成21年社長。座右の銘は一期一会。昭和36年生まれ、59歳。大阪府出身。