干しいもから加工品へ、産地「クリ」の商品化も

 ナガタフーズはダイコンの加工に留まらず、新たな商品開発で、農業という一次産業から加工、販売までを含めた六次産業に向けて進んでいる。そこには、大手食品メーカーのグループ会社で加工技術を学び、生産も営業も多方面で動ける人物の存在が欠かせない。

「スイートポテト」を手にする
永田修一氏

 天日干しで作る干しいもは冬場に最盛期を迎える。しかし、それ以外の季節でも、いもの加工品を作ろうと動き出した。
 その中心となった人物が永田社長の息子である修一氏。修一氏は大学卒業後、土浦市の根菜問屋であるみかど農産に入社し、いもの取り引きに従事する。その後、ドレッシングやウズラの卵、アンチョビなどを製造するキユーピーグループの光和デリカで1年間研修、加工技術を学んだ。
 同社とキユーピーグループには不思議な縁がある。同社が加工する冷凍おろしダイコンはキユーピーに渡り、ドレッシングの具材として使用されている。修一氏が食品加工を学んだのも同グループの光和デリカ。自社ブランドのドレッシング「大根百笑」の充てん、パック工程は同グループのケイパックで行なっている。製品化する際、初めは光和デリカに交渉したが、社長から「当社よりもケイパック社のほうが望みどおりの製品に仕上げてくれるはず」とアドバイスをもらったためだ。

 修一氏がナガタフーズに入社したのが2006年4月。イモの加工品を本格化しようと、刺身のつま工場とは別に第2工場を建設した。ここで「業務用イモようかん」と「スイートポテト」が誕生する。イモようかんは甘味屋やレストラン向けに提供。「スイートポテト」は紅あずまとムラサキイモを使った商品で大手スーパー向けに提供している。

 新商品の構想も練っている。「地元の笠間市、特に旧岩間町は日本一のクリの産地。スイートポテトのクリバージョンを考えています」と語る。産地にも関わらず、今までクリを有効活用できていなかったこと、全国的に知られていなかったことへのもどかしさもにじませる。「せっかくの地元産。これからもどんどん利用していきますよ」と目を輝かせている。