包あん機メーカーのレオン自動機が中国上海市に駐在員事務所(日本雷恩自動機(株)上海代表処)を開設したのは2010年1月と最近だが、15年ほど前から中国の月餅メーカーに包あん機を販売している。その後、月餅の生産が急成長のピークを過ぎると、同社製品の高い技術と汎用性・耐久性が支持され、中華まんや菓子メーカーなどに販路を広げた。
上海駐在員事務所の首席代表を務める佐々木一之所長は「2013年は円安の追い風もあり、見通しは明るい」とコメントしている。
販売代理店の展示会で自社製品を紹介した(11月上海市で)
中国では中秋節(旧暦の8月15日)に月餅を食べる習慣があり、主に贈答用としての需要がある。月餅は利益率が高く、参入企業も多い。しかし中国経済の発展とともに食文化が豊かになり、依然として大きな市場ではあるものの、需要は減退傾向にある。
さらに追い打ちをかけるように、今年は中央規律検査委員会が公費を使って月餅を贈ることを禁止したため、販売量は2割減と予測する報道もあった。
月餅を生産している中国人経営者からは「月餅以外の製品を生産したい」という要望が出ている。これを商機としてレオン自動機は汎用性の高い包あん機の販売を拡大してきた。競合他社の包あん機では月餅以外の製品が生産できないことが多く、その点で優位に立った。
佐々木所長は「実は、すでに台湾では月餅の伸びが鈍化し、その後、他の製品に切り替えるという流れが起きていた。同じ文化圏にある中国でも同じ現象が起きることはある程度予測できた」と語っている。ただし「台湾ではライバルメーカーやコピー機(模倣機)が出回る前に市場を抑えることができたが、中国は市場が大きく競合も多いため、一人勝ちというわけにはいかない。コピー機に比べて価格は高いが、購買力を持っている顧客に提案するしかない。幸い、中国では購買力のある企業がどんどん増えている。その点では見通しは明るい」と見ている。
中国での販売は食材を扱う上海科麦食品が代理店となっている。同社が顧客を集めて開く展示会に参加して機械を紹介することもある。今年は11月に上海市で開催した。
佐々木所長は「当社が競合他社と異なる点は、ただ機械を販売するだけではなく、製品づくりのノウハウを持っている点。他社の追い上げはあるものの、性能面でも優位に立っている」と語る。