日本生協連、尾道冷凍流通センター竣工
日本生活協同組合連合会は広島県尾道市美ノ郷町字新本郷の尾道流通団地内に「尾道冷凍流通センター」をこのほど竣工した。日本生協連のＤＣ機能（６万5000ケース収納）を移管し、併せて中四国地方の生協の事業連合、コープＣＳネットの中国地方エリア５生協のセット（宅配先別に仕分ける）機能を集約する。これにより、冷凍食品の取り扱い品目の拡充と、品温管理レベルの向上を図る。10月から本格稼働する。総投資額は約70億円。
設計・監理は�蠧�建設計。施工は�蠏�谷組（建築）、�螳羮緡簀�（防熱工事）、�蟲�セラソーラーコーポレーション（太陽光発電設備）、�蠢粟鄒什扈�（冷却設備）、オークラ輸送機��（マテハン設備）。
日本生協連中四国支所の冷凍物流は、関西支所と同じ神戸六甲要冷ＤＣから配送しているが、近隣の営業倉庫を活用しなければならないほど手狭になっていた。新センター稼働後は中四国の店舗向けと、四国の宅配向けコープ商品の出荷拠点となる。
中国エリアの鳥取県生協、生協しまね、おかやまコープ、生協ひろしま、コープやまぐちの宅配向け商品の仕分け業務は、併設したセットセンターに集約する。併設することで日本生協連ＤＣからセットセンターへの配送費削減と、配送管理機能の統合による効率的な配車が可能になる。12年度はＤＣから約171万ケースの出荷を予定している。
ほかに、日本生協連の子会社�螢掘璽┘奪�スカーゴが営業倉庫としても活用する。
鉄筋造りで高い蓄熱効果と空調効果
尾道冷凍流通センターは、ドライ商品を扱う尾道流通センター（09年稼働）に隣接する形で新設した。敷地約２万�屐１箴果明僂鰐鵤泳�8000�屐Ｊ�流センターでは珍しい鉄筋コンクリート造り（一部鉄骨造り）２階建て。さらに外断熱工法を採用した。高い蓄熱効果による省エネや、冷凍設備容量の低減が見込め、停電時の温度上昇が遅くなる。鉄骨造りに比べ、内部の柱が少ないため、風通しがよく、空調効率が高いのも特徴。
屋上には太陽光発電パネルを設置した。610ｋｗの発電が可能になり、発電した電力は売電を視野に用途を検討している。照明設備は全館ＬＥＤを採用。人感センサーを組み合わせることで、節電効果をさらに高めている。
冷凍機用屋外機の目隠しと遮音を兼ねた高さ14ｍの壁面緑化も取り入れた。
自然冷媒による冷凍システムを導入
尾道冷凍流通センターの冷却設備は前川製作所の自然冷媒（ノンフロン）冷凍システムを導入した。冷凍庫など商品を保管するエリアはマイナス25℃、商品を配送先別に仕分けする集品ラインや荷受・出荷エリアは５℃に設定する。デシカント空調（乾燥剤による除湿方式）を併用した陽圧化により、外気の侵入を防止する。
集品システム「ピカトル２」採用
集品システムはオークラ輸送機の「ピカトル２」。商品は１階の在庫エリアから２階の原料庫（1300カゴ車、マイナス25℃）に送られる。原料庫からは手作業で同じフロアにある集品ラインの商品ラックに運ぶ。
商品ラックの間口ごとにあるＬＥＤ表示器のいずれかが点灯したら、該当する商品を作業員が手に取り、同じくＬＥＤ表示器が点灯している対面の集品箱に投入する。作業を単純化し、人間による判断ミスをゼロに近づけるのが狙い。１ラインで14名がピッキングする。また、集品箱が１カ所にとどまると他の作業員が到着待ち状態となるため、集品箱は２レーン方式とした。一方のラインが滞っても、もう一方のラインが流れるため、生産性が高い連続ピッキングが可能になる。
発注頻度が低い商品は集品ラインに長時間滞留するため、商品ラック最下段の冷凍ショーケース（マイナス25℃）を使用し、品温管理を徹底する。開設時の集品は４ラインだが、２ラインの増設が可能な余地を残している。仕分けを終えた商品は「Ｚパック」と呼ぶ保冷ケースに数世帯分をまとめ、１階の出荷待機エリアに移す。12年度は330アイテム、6400万点の集品を想定している。
屋上に太陽光発電パネルを設置した（写真中央）、上はドライ商品を扱う尾道流通センター