グランパックスの「きざみ食品用自動計量機」はコンピュータスケールにかからないもの、かかるが洗浄が大変なものに対応するため開発された。粘着物など従来機では難しかった計量に威力を発揮しており、生産現場の省人化に貢献している。近年、「いくら」の自動計量にも成功、堀内社長の挑戦はまだまだ終わらない。
堀内社長
――じゃこ、しらす、鮭フレークなどの水産物から、かつおでんぶ、桜でんぶ、肉そぼろなどのふりかけもの、さらには佃煮、米飯、ピザやグラタン用のトッピングに至るまで計量できる種類の多さに驚かされる。
堀内 付着しにくい材質であるテフロン樹脂の送り羽根で具材を送ります。それでも付着するものは剥ぎ取る特許構造となっています。高性能で強固なロードセル、高速高分解能アンプと独自開発し設計した部品を駆使した装置です。
また、マイナス計量なしで排出途中の付着もほとんどありません。マイナス計量が出たら、フィードバックして追添するようにシーケンサーが働きます。排出用のシュートは太い金網を使ったり、上下に揺さぶったりして付着を防ぎます。
この送り羽根などの部品を交換すれば、1台で山菜ミックス、ぜんまい、きのこ、小茄子、さらにカレールーやこんにゃくなど幅広く食材を計量できます。
――計量速度、精度の優秀性と省人化への貢献が大きいことから、加工場で評判となっている。
堀内 山菜、惣菜メーカーが10年ほど前に導入し、主力商品であるきざみ山菜ミックスの袋詰め製品に活用されました。そこでは、中身、グラム数の違いなどによりアイテム数は200種類を超えており、厳密な製造工程管理と計量作業員の集中力が求められていました。そこに、省人化ができ、コンパクトな計量機である点で当社の機械が縁となりました。“切り替え時間の短いところが実践的”と製造部長に喜んでいただきました。200種類という扱うアイテム数の多さから、切り替え時間が短くて済む機械が受け入れられました。
――省人化、高精度、しかも切り替え時間も短いという現場の要望に応えた。そこでユーザー間で評判は広がっていく。
堀内 導入事例を知った別のメーカーもその後導入しました。そこでは、漬物、山菜、たけのこを扱っており、300g以下の製品全てに活用しています。山菜などの小袋製品は、計量・液入れ作業に人手を要していました。工場要員20名のうち、常に4、5人が袋詰め作業にとられており、他の作業に人員を回せない状況でした。
――計量には人手が取られる。どこも深刻だ。
堀内 自動真空包装機と連結して使用することで、5人だった作業員が2人に。袋詰めの終わった人を他の作業に回せることが多品種少量生産の加工場にとって最大のメリットとなりました。ここでも素材の切り替え作業が短く済む点が喜ばれ、洗浄や組み立て作業が非常に簡単なことも後押ししています。
――「いくら」の計量にも成功した。
堀内 送り羽根など工夫を施すことで計量は可能です。「いくら」の季節以外には部品交換することで他の食材に活用できます。その甲斐あって、昨年から今年にかけて、中食を含む小分け業務に貢献していると自負しています。今後も、ユーザーが“計量してほしい”という食材に応じられるよう、開発に着手していきます。
きざみ食品用自動計量機