コラム『ひろい書き』
「来てくれてありがとう」の無言の歓迎に笑顔

 年間2〜3万人もの見学者を受け入れるキユーピーの五霞工場。原発事故で避難生活を強いられる福島県双葉町の住民を避難所から招いた。工場に入った当初は表情が一様に固かったが、見学者通路から見える従業員のマスクからのぞくわずかなすき間からは、あふれそうな笑顔。ある工程では従業員が「五霞工場に」「来てくれて」「ありがとう」の大きな手書きのプラカードを振って歓迎。次第に笑顔が1人1人と増える。見学者の笑顔がわかると、従業員がさらに笑顔を見せる。ガラス越しの見学で両者に会話はないが、相互意思は伝わる。見てもらった従業員「また来て欲しい」と工場幹部に働きかけた。「我々にでも原発で苦しむ人たちに何かできることがわかった」と楠本正工場長。これから毎月双葉町の皆さんを招くことにした。送迎にコスト負担は求められない。従業員バスで送迎する。キユーピーファンがまた増える。