新技術USS製法を発表

 不二製油(海老原善隆社長)は大豆を低脂肪豆乳、豆乳クリーム、おからの3素材に分離する新技術「USS製法」(ウルトラ・ソイ・セパレーション)とその技術によって生まれる新しい大豆素材、将来の事業展開について2日、記者発表会で明らかにした。

新技術を発表した海老原社長、左は清水専務

 特許技術のUSS製法は従来の限界をはるかに超えたレベルの物理的な成分分離を可能にした点が画期的。独自の処理方法と遠心分離で実現した。これまではアセトンなどの溶剤を使って大豆の油脂成分を分離していたが、新技術は溶剤が不要なので大豆のコクや風味を生かした素材ができる。牛乳を脱脂乳と生クリームに分離するのと似ている。
 低脂肪豆乳は低カロリーな豆乳飲料として利用するだけでなく、起泡性を利用して卵白のようにメレンゲを作ることもできる。従来の豆乳は大豆臭を除去してしまいがちだったが、低脂肪豆乳は脂質による風味の劣化が小さいため、大豆本来のおいしさを生かせる。他の油脂成分と組み合わせて新しい飲料を作ることも期待できる。
 豆乳クリームは和風クリームなど洋菓子や和菓子に新たな分野を開拓できる。乳化力に優れているので卵黄に似た使い方も可能。
 製造プラントは既にテスト生産を開始しており、来春には発売する予定。当初は低脂肪豆乳、豆乳クリーム等の素材を販売する見込みだが、将来は「素材を使った自社商品の発売にもつなげたい」(清水洋史専務蛋白加工カンパニー長)。
 同社が持つ発酵技術と組み合わせ、豆乳ヨーグルトや大豆チーズなど乳製品的な利用も大きな可能性を秘めている。将来は乳、卵を使わないアレルゲン対策食品の幅を広げることも期待できる。

豆乳マヨネーズや豆乳ホイップも

乳臭がない「豆乳抹茶ロールケーキ」は
あっさりしたあじわ抹茶の味がひきたつ

 不二製油が開催した大豆ルネッサンス記者発表会では、USS製法による新素材を使ったメニューの試食やレシピ紹介も行った。
 「豆乳マヨネーズタイプ」は豆乳クリームに酢と塩を加えるだけでできる、卵を使わないマヨネーズ風のソース。マヨネーズを使わない「豆乳ポテトサラダ」も豆乳クリームで作ることができる。
 豆乳クリームを使ったスポンジや、豆乳ホイップで作った「豆乳抹茶ロールケーキ」は、抹茶の味が映える、これまでにない味わいが面白い。牛乳を使うといわゆる「抹茶ミルク」の味になってしまうが、新素材を使うと和菓子のようなあっさりしたケーキができる。