HACCP対応支援ツール、モンテローザが全店導入

 パレットのレンタル事業やICT事業を手がけるユーピーアール(東京都千代田区、酒田義矢社長)は飲食店向け衛生管理システム「UPR HACCP」が外食チェーン大手のモンテローザ(東京都武蔵野市)に採用されたとこのほど発表した。モンテローザは「白木屋」、「魚民」、「笑笑」など全国に36ブランド、1500店舗以上を展開する。HACCPの完全施行が6月に迫っており、4月までに全店導入をめざす。

 「UPR HACCP」の最大の特長はシステムを導入するだけですぐに衛生管理を始められること。従業員の健康状態や設備機器の温度、清掃チェックなどの標準的な衛生管理項目をテンプレートで搭載している。

ユーピーアールは食品関連展示会に積極的に出展し、衛生管理システム「UPR HACCP」
の導入効果を訴求している

 スマホやタブレットで日々のチェック業務が簡単に行えるため、確認業務の負担を軽減するほか、HACCP対応で求められる記録・保存が可能になる。IoTデバイスと接続すれば冷凍冷蔵庫の温度管理を自動化することもできる。さらに従業員や店長、エリアマネージャーなどの役職別に管理項目を設定でき、細かな承認フローの作成にも対応する。

 ユーピーアールはモンテローザの全店導入に先駆け、まずは約100店舗で1月から稼働開始した。3000種類以上あるメニューの衛生管理を効率化し、確認フローを厳密化することでチェック体制を強化する。従来の紙媒体による記録・保管を排除し、非接触化を図ることで安心安全な店舗運営も実現する。

都内閉店発表も「計画通り進める」

 コロナショックは外食産業の中でも特に居酒屋を直撃しており、ユーピーアールの発表翌日、モンテローザは都内61店舗の閉鎖を公表した。これについてユーピーアールの北村直樹ICT事業部部長は「コロナ禍で外食事業者は大変厳しい状況に置かれているが、モンテローザは食品衛生法等一部改正の背景・趣旨を理解されたうえで、『UPR HACCP』の導入を決めていただいたので、 当初計画通り導入を進めていく」と本紙の取材に語り、今回のプロジェクトに影響がないことを強調した。

        冷凍冷蔵庫の温度管理を自動化できるIoTデバイス