日本介護食品協議会(森佳光会長=キユーピー執行役員広報・グループコミュニケーション室長)は、会員企業86社を対象にした2019年UDF(ユニバーサルデザインフード)生産統計の集計結果を1日公表した。
市販用・業務用を合わせた生産量は前年対比241.5%の5万8387t、生産額は150.3%の430億4400万円と大幅に増加した。市販用が急拡大し、全体の生産量・生産額をともに押し上げた。
製品登録数は前年より114品目少ない1989品目になり、調査開始以来初めて減少したが、これは昨年導入した「UDF申請登録管理システム」を使って登録品目を精査し、終売品を整理したため。
「介護食品」に対する一般消費者の認知率は49.2%と5割近くに上った。
UDFの一例、アサヒグループ食品の「バランス献立」
シリーズ、常温・市販用品
生産量・生産額を区分別で見ると、「容易にかめる(区分1)」が前年対比で569.1%の3万5664t、301.9%の160億2600万円と突出している。同様に「歯ぐきでつぶせる(区分2)」も前年対比219.2%の6294t、173.4%の46億3100万円と急増した。
これは「容易にかめる」で市販用UDFに食パン製品などが新たに登録されたこと、「歯ぐきでつぶせる」では業務用の介護食品として活用実績のある製品がUDFを取得したことが大きい。
このほか「舌でつぶせる(区分3)」や「かまなくてよい(区分4)」、「とろみ調整食品」も前年より増加している。「かまなくてよい」については介護者の負担軽減につながるため、積極的に活用されるようになった。メーカーも新製品を投入するなど製品提案を意欲的に行っている。
タイプ別では「乾燥」、「冷凍」、「常温」がいずれも前年を超えており、中でもチルド製品を含む「常温」は食パン製品が新たに登録されたことで、生産量・生産額は対前年比425.4%の3万7601t、187億9300万円と急拡大した。このうち生産量ベースで9.3%を占めるレトルト製品は市販用が9割を超え、パン製品を含む非レトルトも市販用が8割以上を占める。
「冷凍」は対前年比144%の1万6887t、128%の149億300万円と堅調に推移している。「冷凍」は施設や病院給食など業務用の比率が99%に上る。
全体の生産量・生産額を市販用・業務用の販売先別で見ると、市販用は対前年比554.5%の3万4499t、209.5%の197億3200万円、業務用も対前年比133.1%の2万3899t、121.3%の233億1200万円と大幅に伸長した。
市販用・業務用の生産比率は市販用が前年の25.7%から59.1%に高まり、業務用は74.3%から40.9%に低下して、前年まで業務用が圧倒的に多かった傾向は一気に逆転した。これもパン製品の増加が主な要因。
介護食品の認知率調査は隔年で行っている。今回は全国の一般モニター1000人を対象にインターネットで4月実施した。全体の認知率49.2%は前回の49.9%とほぼ同じ。
一方、UDFに対する認知率は前回の12.3%から13.2%へと、わずかながら着実に上がっている。日本介護食品協議会は「ドラッグストアやスーパーでの取り扱いが増えるなど販売環境の整備が進んでいるため」とみている。