コスト改善で17億円増益図る
 商品を育成、付加価値品にシフト
キユーピー 代表取締役 社長執行役員 長南収氏

 キユーピーは今11月期で営業利益を57億円増やす。販促費、販管費等の増加で45億円のマイナス要因が発生し、最終的な営業利益は12億円増の310億円と見ているが、為替と北米の鶏卵相場下落の影響で海外利益は11億円の減益と見込んでおり、国内だけでは23億円増の288億円(8.7%増)と大幅な利益改善を予想している。
 今年2月に社長に就いた長南氏はマヨネーズ・ドレッシングの調味料だけでなく、タマゴ加工品やサラダ・惣菜など「名脇役」を「主役に」と新たな提案を進め、2019年に迎える100周年を機に「さらなる飛躍をめざす」としている。

    長南社長

 「今11月期は売上げ77億円増(1.4%増)の5600億円、営業利益は国内23億円増(8.7%増)の288億円、海外は為替と北米鶏卵相場下落の影響を受けて11億円減(34.2%減)の22億円と見込んでいる。経常利益は6億円増の320億円で経常利益利益は0.1ポイント改善し5.5%を予想している」
 「営業利益は増収と新商品の発売で26億円増益予想だが、昨年の北海道台風被害による十勝コーン休売で5億円、米国鶏卵相場下落で3億円の減益となり、売上総利益の増加は18億円。プラス要素は、商品の育成と付加価値品へのシフトで10億円増、コスト改善で17億円など29億円の増益を見込む。広告宣伝費の増加と労務費の増加で14億円の減益、その他販管費増加などを合わせ、減益はトータルで45億円。プラス57億円、マイナス45億円で差し引き12億円の利益増となる予想」

 「調味料ではドレッシングの需要拡大、メニューバリエーションの拡大、健康ニーズを捉えた付加価値マヨネーズ・ドレッシングを発売し、売上げ55億円増の1496億円、営業利益は13億円増の150億円を見込み、利益率は0.5ポイントアップの10.0%とする」
 「タマゴは国内で需要拡大を図るが、北米鶏卵相場の下落の影響が残り、売上げは前年並の1022億円、利益は13億円減の42億円、利益率は1.3ポイント減の4.1%と見ている。省人化技術を各工場に水平展開し、コスト削減を図る」
 「サラダ・惣菜は売上げ46億円増の1164億円、利益は6億円増の41億円の計画。カット野菜で4億円、惣菜で1億円、米飯で1億円の増益を見込む。利益率は0.4ポイント増の3.5%を見込む。パッケージサラダで自動化ラインに挑戦しており、18年11月期には本格導入に踏み切る」
 「加工食品は高齢者食の体制強化、家庭用調理ソースの展開、ジャムの強化を図るが、十勝コーンの休売とアヲハタの決算月変更の影響が売上げで50億円、利益で6億円あり、期末では売上げ52億円減の461億円、利益は2億円減の3億円を見込む」
 「ファインケミカルは医薬品ヒアルロン酸の強化、BtoCルートの取り組みなどを進めるが、5億円減収の104億円、利益は2億円減の8億円の見込み」

 「海外はマヨネーズ・ドレッシングを中心に市場の深耕を図っている。サラダの食文化を浸透させる一方、日本で培ってきた技術を活かしてアジアを中心にタマゴ加工品の拡大を進める。11月期の売上げは39億円増の417億円、営業利益は北米鶏卵相場の影響を受けて11億円減の22億円の見込み」
 「中国では南通丘比の新工場稼働により、新規カテゴリーのタマゴ加工品や食酢、ロングライフサラダも取り扱いを始めた。北米ではごまドレッシングの販売が拡大している。ポーランドでも1月からマヨネーズの現地生産・欧州販売を開始した」

 「物流業界の人手不足は深刻化している。そこで業界全体のイメージ向上への取り組むが必要。当社ではグループ協働の取り組みを様々実施している」
 「お客様との会話のため、仙川キユーポート(東京調布)等で実施する様々なイベントに顧客を招いている。食育と交通安全のためには、企業ブランド価値向上をめざし、『マヨテラス』(仙川キユーポート内の見学施設)と協働の取り組みや、小学校・幼稚園と連動したイベントを実施している。地域貢献では地域自治体や警察と連携し、地域イベントに積極的に参加するようにしている」

【長南社長の略歴】(ちょうなん・おさむ)1981年入社。仙台支店長、家庭用営業部長、大阪支店長、東京支店長から2013年執行役員。2014年2月取締役執行役員広域営業本部長、2016年2月常務執行役員となり、サラダ・惣菜事業を担当。2017年2月代表取締役社長に。1956年(昭和31年)5月16日山形生まれ、鹿児島大学水産学部卒、61歳。