イタリアの冷凍・冷蔵機メーカーを買収

 ダイキン(大阪市、十河政則社長)は子会社のダイキンヨーロッパ社(ベルギー王国オステンド市、三中政次社長)を通して、イタリアの業務用冷凍・冷蔵設備メーカー、ザノッティ社(イタリアロンバルディア州Walter Maiocchi社長)を買収する。
 買収価格は約123億円で、ザノッティ社経営陣が保有する資産管理会社から全株式を取得し、必要な手続きを経た上で6月末に買収を完了する予定。
 ザノッティ社は、ヨーロッパを中心に事業を展開し、食品分野で生産から陸上輸送、小売までコールドチェーン全般をカバーする幅広い商品を持っている。ヨーロッパ各国で広範な販売、サービス網を持ち、イタリアのほか市場規模の大きいイギリス、スペイン等に生産拠点がある。ユーザーごとに異なる要求への対応力と、短いリードタイムでの商品供給、物流コストの面で高い競争力を持っている。

 ダイキンはこれまで冷凍・冷蔵分野では、日本や欧州でコンビニなどの店舗向けに空調機と冷凍・冷蔵を一体化し、省エネ制御できるようなシステム商品や、海上輸送用のコンテナ、食品貯蔵用エアコンなどの商品を販売していたが、事業領域がコールドチェーン全体の一部に留まっていた。
 今回の買収で、欧州の冷凍・冷蔵機器市場でコールドチェーンを広範囲にカバーする幅広い商品を揃えることができ、空調で培った技術をザノッティ社の商品に展開することで、省エネ性に優れた高付加価値の商品を提供できる。

8000億円の市場規模

 欧州ではプライベートブランド品の開発が進んでいること、「食の安全」に対する意識の高まりから、農産物や加工食品の保管、コンテナでの輸送、店頭までの各工程で冷凍・冷蔵機を使った商品管理を行っている。
 欧州全土では買い物の中心が従来の郊外の大型店舗から街中の小売店へと移行し、コンビニや大手スーパーマーケットチェーンが進出する動きが広がりつつある。冷凍・冷蔵機の買い替えや新設など安定した需要拡大が見込まれている。
 こうした変化を受けて市場では、幅広い商品を持ち、コールドチェーン全体をカバーする提案や、各店舗の条件に応じたシステム提案ができることにニーズが高まっている。
 さらに、環境意識の高い欧州では、空調機に続いて冷凍・冷蔵機に対しても省エネ規制を導入することになり、ダイキンの省エネ技術が活かせる環境が整いつつある。
 同社では「欧州で冷凍・冷蔵機器事業を拡大し、空調や暖房、アプライド(顧客の要求に応じて機器を改装し、必要な周辺機器と組み合わせること)も含めて総合空調冷凍機メーカーとして事業基盤を強化したい」としている。