09年の米国のスケソウダラのTAC(漁獲枠)を決めるRC(地域漁業委員会)が開催され、米国アラスカ・ベーリング海81万5000t(08年100万t)、アラスカ湾4万9900t(6万0180t)と昨年より2割削減で決定した。スリ身価格は、本来ならば世界金融危機の影響で需要の縮小と在庫の停滞から、下方修正される局面だが、主要生産国の米国で漁獲枠が2割削減されるため、生産者は減産を盾に下方修正に抵抗すると見られ、漁獲枠の削減の中で、生産者が生き残れる価格と日本の水産ねり製品業者が生き残れる価格を模索することになり、価格決定はかなりずれ込むことになると予想されている。
製品価格をリードしてきた欧州のフィレーは、今年Bシーズンに成約したものの、世界的な金融危機以後、消費が停滞したため、買い手側である欧州の業者は、製品の受け取りを09年のAシーズンにずらしてくる。そうなるとBシーズンに成約したフィレーは大幅に減少、このため生産も減らさざるを得ず、スリ身生産にシフトすると見られている。また、Aシーズンはタラコ生産に重点が置かれるため、さらにスリ身生産の比重が高まる。また、原油価格の大幅な値下がりから燃油価格も下がっていることも、スリ身価格を下げる要素となる。しかしながら漁獲枠が2割削減となったことから、値下げを躊躇させる要因となっている。