２つの焼成ラインを常備 顧客の細かいニーズに対応
ライオンフーヅ 関東工場��
業務用パン粉を製造販売しているライオンフーヅ（さいたま市、宮崎裕一社長）の関東工場（茨城県筑西市、宮��恵太工場長）は焙焼式と電極式の焼成ラインを取りそろえている。フライ製品に欠かせないパン粉。具材の旨味を最大限に引き出すこの“立役者”は２つの焼成方法によりバリエーションも豊富になる。納入先の製品に合ったパン粉の製造が可能となり、細かいニーズにも応じている。
工場は正面向って右側が焙焼式ライン、左側が電極式ラインと中央を境に分かれている。スタッフはどちらかのラインの担当に固定されており、シフトの変更はない。時間や温度など焼成過程で２つのラインは微妙に異なっているためで、パン生地を熟知していなければならない。「パン粉の土台はパン」というように、ラインスタッフにはパン職人にも匹敵する熟練度が求められている。担当ラインを固定することで質の高いパン生地とパン粉を製造できる技術者を育てている。
サイロに入荷した小麦粉は自動的にブレンドされ、ミキサーに送られる。水とイーストを加えて混ぜ合わせ、中種生地を作る。生地は２時間半かけて発酵、熟成させる。熟成した生地は大型ミキサーに送られ、砂糖、食塩、バターなどの油脂類を加えて充分にミキシングする。この「中種法」がパン粉の母体であるソフトなパンの基礎作りになっている。このゾーンにはスタッフを２、３名配置しており、いずれもパン生地を熟知したベテランである。
棒状に丸めたパン生地を型詰めし、コンベアで最終発酵室に送る。ここでは35℃の温度でじっくりと発酵させる。最終発酵を終えたパン生地は焼成工程へ送られる。
ラウンダーコンベアー
電極式発酵焼成室
ニーズに合ったパン粉を提案
焙焼式はガスオーブンで160℃で50分間パン生地を焼成する。一方、電極式は通電オーブンを使い、パン生地に200Vの電気を流す。その際に発生する抵抗熱により、生地自体が発熱、パンを焼く。
出来上がるパン粉の見た目に差異がある。焙焼式のパン粉は全体的に丸いが、電極式のパン粉は「剣立ち」があり尖っている。そのためサクサクした食感が得られる。
電極式焼成のパン粉（左）と焙焼式焼成のパン粉
同社は和食の老舗やトンカツを主力にしている外食チェーン、商店街の精肉店など全国で多くのユーザーと関わっている。その数だけフライ製品があり、求められるパン粉も多種多様。食材にあったパン粉の提案に注力している。納入先のユーザーは製品の出来上がりを考慮してパン粉を選定しており、総じて、畜肉フライは焙焼式を、水産フライには電極式を採用することが多いという。
宮��恵太工場長（右）と塚口昌彦工場次長