新製品を引っ提げＦＯＯＭＡ初出展
厨房スタッフの労務改善が開発テーマ
�蟶�原商事 代表取締役社長 笹原憲久氏
笹原社長
業務用厨房関連機器メーカーの笹原商事（鹿児島市）は「ＦＯＯＭＡ ＪＡＰＡＮ 2019（国際食品工業展）」（７月９〜12日）に初出展する。持ち帰り弁当大手や外食チェーン大手に導入実績を持つ食用油ろ過機やグリストラップ用洗浄剤のほか、ＦＯＯＭＡに向けて昨年から開発を進めてきた調味料自動計量機を出品する。実機がこのほど完成し、最終調整を進めている。笹原社長は「国内最大級の展示会に出展するからには恥ずかしいものは出せない。当社の製品がどのような評価を受けるか、実力を試したい」と意気込みを見せる。
――新製品の調味料自動計量機について。
笹原 ワンタッチ操作でタレやソースなどの調味料を正確に計量し、自動で定量供給する機械です。10ccからデジタル設定でき、ケチャップやマヨネーズなど高粘度の調味料にも対応可能です。卓上型の軽量設計で、厨房のテーブルに複数台置いて、調味料ごとに使用することを想定しています。ターゲットは外食チェーンやラーメンチェーン、ファストフード、ホテルなどです。
――技術面ではどのような工夫を？
笹原 高性能の供給ポンプとフロー（流量）センサーを使って定量供給を可能にしました。測定原理を用いて測定しながら、制御回路が効率的な制御を行う独自の集積技術を開発し、ごく少量の液体でも計量できるのが大きな特長です。
衛生面にも配慮しています。血液透析装置の原理を応用し、ポンプ内とチューブ内の汚れを洗浄液で除去した後、すすぐ工程をプログラム化しています。
今回の開発に際しては韓国ＬＧ電子の関連会社に協力してもらい、ＬＧガソリンスタンドのベンダー技術を採用しました。
――開発のきっかけは？
笹原 取引先の飲食店を回る中で気づいたのですが、調理現場では調味料の計量にレードルなどの容器を使うことが多い。これでは手間がかかるほか、調理する人によって味がぶれるリスクがあります。ワンタッチで定量供給できるようにすれば調理現場のオペレーションは簡単になるはず――。そこでリサーチしてみるとニーズが十分あることがわかったのです。
昨年から開発を進め、何とかＦＯＯＭＡに間に合わせることができました。展示ブースでは実際の調味料を使ってデモを行います。
油ろ過機の出荷2000台突破
主力製品の「ＥＣＯＳＡＳ油ろ過機」
――主力製品の「ＥＣＯＳＡＳ油ろ過機」も出品する。現在までの導入実績は？
笹原 「ほっともっと」や「やよい軒」、Ａコープグループのほか、ハローディ（福岡県北九州市）、せんどう（千葉県市原市）など地域の有力スーパーにも広がり、出荷台数は累計2000台（2000店）を超えました。フライヤー１槽の清掃時間を大幅に短縮できるなど労務改善につながるため高い評価を受けています。
ＦＯＯＭＡでは油ろ過機と併せてグリストラップ（油水分離槽）の浄化剤も提案します。詳細は言えませんが、誰でも知っている外食チェーンやファストフード、流通大手で使われています。
――どのような特長がある？
笹原 グリストラップの油分とヘドロを分解消臭して、排水管のつまりを防ぎます。微生物では分解しきれない乳化した油分も分解できるのが最大の特長です。
厨房ではグリストラップの清掃を毎日行っていますが、中腰やかがんだ姿勢で臭いの強いヘドロをすくい上げるなど作業負担が大きく、困っています。「ＥＣＯＳＡＳグリストラップ浄化剤」は毎月１回、グリストラップの２槽目に入れるだけで清掃作業が非常に楽になります。汚泥量が大幅に減少するので専門業者による汚泥処理がなくなり、コスト削減にもつながります。
さらに、特許技術で製造したナノファイバー（超極細繊維）を使った油吸着材を併用することで、油分だけでなく上澄みのゴミも一緒に取り除くことができます。
――展示会の出展自体が初めてだが、ＦＯＯＭＡを最初に選んだ理由は？
笹原 展示会が様々ある中で、取引先や営業先の担当者たちは「ＦＯＯＭＡだけは必ず行く」と口を揃えて言うのです。そこでＦＯＯＭＡにまずは出展してみて、当社の製品がどのような評価を受けるか、実力を試したい。
会社設立から３年ですが、ＦＯＯＭＡに出展できる喜びを社員全員と共有し、今後の成長発展の励みにしたいと思います。
（ささはら・のりひさ）1972年８月生まれ。学卒後、大手総合商社入社。物流センターの冷蔵冷凍庫や断熱パネルの施工、営業職に９年間従事。その後、業務用食品卸に17年間勤め、2016年独立。現在に至る。陸上競技でインターハイ出場の経歴を持つ。46歳。