IoT、AI活用、次世代型コンビニ構築へ
パナソニック自ら店舗運営、知見獲得のため

オープンセレモニーには大勢のマスコミが詰めか
け、注目度の高さを示した

 ファミリーマートパナソニックグループはIoTなどデジタル技術を活用した次世代型コンビニの実証店舗を横浜市内に2日オープンした。パナソニックがフランチャイズ契約を結び、実際に店舗運営するなど実証店舗としては異例のケース。
 ファミリーマートは従業員の負担軽減や利用者の利便性向上が実現できるか検証する。パナソニックは実際の店舗運営で得られるデジタル技術の効果や課題を把握し、さらなる技術開発につなげる。
 ファミリーマート佐江戸店(横浜市都筑区)はパナソニックグループの敷地横にオープンした。店内にカメラや赤外線センサなど約80台を設置。IoTを活用したセンシングで利用者の属性や滞在場所・時間、買い回り動線、レジ前の混雑状況、欠品など各種データを収集して店舗の運営状態を見える化し、オペレーションの効率化につなげる。

   欠品情報を知らせるウェアラブル端末

 欠品情報は、当初はカップ麺やスナック、FF商品限定だが、カメラとAIシステムが棚の状況を認識して従業員のウェアラブル端末に情報を発信する。音や文字、バイブレーションで従業員に知らせるため、効率良く商品補充ができ、販売機会のロスを防げる。
 パナソニックはIoTセンシングで得られる各種データの活用範囲を今後広げる考えで、担当者は「品揃えや店内レイアウトの最適化、需要予測まで進めたい」と語る。
 紙製プライスカードに代わる電子棚札はPOSシステムと連動して商品価格の自動変更や一括変更、新商品・セール商品の表示などが無線で行える。値札の貼り替えに伴う作業負担やコストを削減できる。電子棚札は常温、冷蔵、冷凍対応のため使い分ける手間もかからない。
 さらに、パナソニックグループの従業員限定でAIの顔認証による入店やレジ台に乗せた商品の自動スキャン、顔認証によるキャッシュレス決済を導入し、無人店舗の可能性を検証する。

 電子棚札、セール情報を表示できる(左)

   電子棚札は冷凍食品も対応可能

澤田社長「最先端の技術に興奮している」

商品一括スキャンと顔認証によるキャッシュレス
決済システム

 この日記者会見したファミリーマートの澤田貴司社長は「パナソニックと協業の話を進める中で『どうせやるなら加盟しますよ』と言ってくださった。店舗は最先端の技術を駆使しており非常に興奮している」と語り、店長はパナソニックの社員が務め、副店長としてファミリーマートの社員を派遣することを紹介。「苦労や課題はあると思うが一緒に解決し、未来の店舗を作り上げていきたい」と期待を示した。
 法人向けシステムインテグレーターのパナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は「小売りや飲食分野では生産性向上や消費者の利便性向上のニーズはあっても、解決策がまだ構築されていない。だが、我々メーカーだけではできないことで、リアル店舗で実際に試してみて、練りに練ったものに仕上げるプロセスが非常に大事。今回は5〜6つのソリューション技術を店舗に埋め込んでいるが、実証実験を重ねて一刻も早く実現化し、貢献できるようにしたい」と強調した。

     テープカットに臨む澤田社長(左)と樋口社長