AIと人が協働し、名作文学の読後感をコーヒーの味わいで再現

 日本電気(NEC)とコーヒー豆専門店のやなか珈琲は、AI(人工知能)とカップテスターがコラボレーションし、名作文学の読後感をコーヒーの味わいで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」を開発した。

    味が気になる「飲める文庫」

 NECのデータサイエンティストが、文学作品に関する1万件以上のレビュー文(読後感)をコーヒーの味覚指標である苦味、甘味、余韻、クリア感、飲みごたえに変換した学習データを作成した。
 その後、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つであり、ディープラーニング(深層学習)技術を搭載したソフトウェア「NEC Advanced Analytics−RAPID機械学習」に学習データを投入し、分析モデルを作成した。
 この分析モデルを使って6点の名作文学のレビュー文を分析し、味覚指標のレーダーチャートをそれぞれ作成した。
 最後に作成されたレーダーチャートをレシピとして、やなか珈琲店でコーヒー豆の産地、銘柄などの品質を見極め、各豆本来の風味や味わいの味覚を検査するカップテスターが6種のブレンドコーヒーを考案、開発した。

 対象の名作文学は島崎藤村「若菜集」、太宰治「人間失格」夏目漱石「吾輩は猫である」、「こころ」、「三四郎」、森鴎外「舞姫」。
 100g、税込950円。販売期間は10月27日〜11月30日。8日〜30日までは6作品飲み比べ ドリップバックセット(税込2340円)も販売している。やなか珈琲店の秋葉原CHABARA店、アトレ亀戸店、コレド室町店、ルミネ北千住店、ルミネ立川店、エキュート赤羽店、アリオ西新井店、トレインチ自由が丘店、中野マルイ店か通販サイトで購入できる。

 NECは社会ソリューション事業に注力しており、独自あるいは世界トップクラスの高精度な各種AIの開発 や、それらを活用したソリューションの提供を推進している。今回、NECのAI技術力や、人とAIの協調を身近に感じてもらうため、「飲める文庫」を開発した。
 やなか珈琲店は煎りたてコーヒーのおいしさにこだわったコーヒー豆販売の専門店で、都内で31店舗を展開している。開発したカップテスターは「約30種類の国と地域、スペックの違うコーヒーの中からAIが導き出した味の指標を基に、それぞれのブレンドの違いを明確にするため試行錯誤を繰り返した。人の味覚だけで6種類の味の差を表現することは簡単ではないので、それぞれのコーヒーの味から文学の世界がイメージできたら、素晴らしい」とコメントしている。