タニコーが提案している、省スペースで初期投資が小さくて済むベーカリー製造機器「ユニエースオーブン」が授産所などの福祉施設で導入を伸ばしている。
冷凍パンの市場拡大を支えている
冷凍生地やパン作りのノウハウを提供する山崎製パンの「コンパクト エフィシエント ベーカリー システム(CEBS)」とともに展開している。ベーカリーの設備は必要スペースや初期投資が大きくなりがちだが、同システムは動力工事や給排水工事、強制換気工事が不要。初期投資やランニングコストを抑えられる。
オーブンはコンベクションオーブンタイプと固定釜タイプがあり、いずれも解凍・発酵を行なうドウコンディショナーと縦置きに組み合わせることができる。冷凍生地を使うので、もちろんミキサーなどの設備は不要。職人もいらない。設備は小さくても1日当たり800〜1000個のパンを製造できる。
両社がプロジェクトを立ち上げた6年前は、スーパーマーケットなど量販店を中心に導入を進めた。さらに国分とコラボで、惣菜を組み合わせた「デリベイク」を提案。冷凍パン生地をホイロ(醗酵室)付きのシステムオーブンで店内焼成し、バックヤードで作る惣菜と組み合わせた。
ベーカリー店が惣菜を作ってパンにはさむか、スーパーがパンを焼いて惣菜をはさむか、アプローチの違いだけで、商品は同じ「惣菜パン」だが、同システムは惣菜売場で展開するので、バラエティー豊かな商品を比較的簡単に揃えることができる。作りすぎた惣菜の有効活用にもつなげた。
大手ファミレスチェーンが冷凍パンを使った朝食バイキングを展開したのも同システムへの関心が高まった一因。「ここ1〜2年で急速に伸びた。定期的に技術研修することで、より質の高いパンを安定的に製造できるのが強み」(同社)という。
近年、量販店やレストランのほかに同システムに注目を集めているのが、授産所などの福祉施設。入所者の就労や技能修得のために冷凍生地によるパン作りが役立てられているという。難しい技術を必要とせず、未経験者でも簡単に作業ができる。「従来から、授産施設での職業訓練にパン作りが受け入れやすかったが、その傾向が機器の導入を後押ししている」(同社)という。