田中住建グループのTJクリエイトは兵庫県伊丹市に新設した植物プラントに、神戸製鋼所が開発した高機能抗菌めっき技術を農業分野として初めて採用した。
技術名は「KENIFINE(ケニファイン)」。TJクリエイトは新鮮な野菜を洗わずにそのまま食べることをめざし、微生物に対する抗菌や、その繁殖の温床となる藻を抑制するため、植物プラント内の床や壁などにケニファイン水系コートを塗布している。今後は、その有効性と使用条件を検証しながら、使用範囲の拡大を進める。
ケニファインは従来の抗菌技術に対して10倍以上の滅菌スピードと、その後の菌の増殖を抑制する効果がある。
かびの生育を抑制する作用は銀系抗菌剤の50倍以上。SARS系コロナウイルス、A型インフルエンザウイルスなど抗ウイルスや防藻、サケマス魚卵のミズカビ抑制などの効果も認められている。
現在、食品・飲食産業や医療関係、家電・エアコン部品、漁業用金網などの産業分野や、台所用品、グルーミンググッズなどの一般消費財、アミューズメント分野などの民生用途で採用されている。
TJクリエイトの植物プラントの外観と内部
植物工場内の壁や床にスプレーで抗菌コートを行う
神戸製鋼所によると、ケニファインの様々な用途を探求することで、飲食品や医療福祉、電機・空調、一般消費財、漁業などの分野で優れた抗菌技術として利用を広めているという。大阪府立環境農林水産総合研究所と森村商事は共同で、農業分野でケニファインの抗菌性や防藻性を検証し、土を使わずに栄養源を培養液で供給し、農作物を栽培する「水耕(養液)栽培」の衛生管理手段として有効であることを確認した。