異物検査機、際限なく
アンリツ産機システム 執行役員 営業本部 本部長 中島 健文氏
Ｘ線異物検査機や金属検査機。食品工場には欠かせない技術だが、「ユーザーが事故なく、安心して使っていただくシステム開発に終わりはない」と気を引き締める。どんなタイプの検査機に関心が集まり、それにアンリツはどう応えるのか――。営業部門を統括する中島氏に話を聞いた。
中島営業本部長
――ＦＯＯＭＡが終わった。感触は。
中島 来場者対応が途切れないことが何度かあり、例年に比べて忙しかったです。お客様の設備投資意欲もより具体的な内容が多く、中身の濃い話ができました。聞くところによると、他の出展社も同じような傾向だったようです。
――来場者の反応は。
中島 金属検査のみの生産ラインを、重量チェッカー機能付きの金探に更新したいというニーズが多くありました。それまではあまり重量まで気にしなかった商品でも検査レベルを高めたいということです。コンビニ系のあるベンダー工場では、重量チェッカー機能の付いた金探に切り替える方針を打ち出したとのこと。おそらくカロリー表示と関係あるのではないでしょうか。重量の少しの変化でもカロリーが変わってしまうため、そこに神経を尖らせているのでしょう。
また、今年は先端設備導入による税制の優遇処置に絡めて、機械の更新を検討するユーザーが多くいました。この制度は昨年から始まりましたが、それがユーザーの間にも浸透しているのだと実感しました。
――どんな機械に来場者は関心を持った？
中島 税制改革を機に、更新検討を多くいただいているのがＸ線異物検査機の最新機種「ＸＲ75」。センサーを改良したことで、Ｘ線の出力を下げても、映し出される画像は従来機のように鮮明さを維持します。通常、センサーは強いＸ線を受けると、それだけ劣化が早かったのですが、その懸念を克服しました。発生源自体も今までのような出力の高い�樟�を発生する必要がなくなったため、その分寿命が長くなりました。
――どれくらい長くなった？
中島 ユーザーの使い方にもよりますが、従来機のおよそ３倍。そのため、特に大手メーカーの主力商品のライン向けに更新を検討いただいています。連日長時間稼働しているラインでも寿命が長持ちできる点を評価していただきました。
この他、かみこみ検査機能がついたＸ線検査機にも関心を寄せていただきました。
――かみこみ検査機能と言えば、競合メーカーも前面に押し出したシステムがある。
中島 競合メーカーの製品開発力、勢いがありますね。ただ、私たちは全国体制で販売網を持ち、アフターフォローをしています。ユーザーに導入後も、安心してシステムを利用していただけるよう提案することで、差別化を図っています。
ＦＯＯＭＡで初披露したクリーンカップスケール
――ＦＯＯＭＡで初披露したクリーンカップスケール。その実演に多くの人が注目していた。
中島 早速、複数のレトルト食品メーカーが更新したいと仰っていただきました。小型化、高速化してほしいというユーザーのニーズが大変多く、それを形にしました。高精度への追及はもちろん、清掃しやすいなど衛生度にも配慮しています。この形状のスケールは当社が最も得意とするところ。今後もこの形状に特化したスケールをバージョンアップさせていきます。
――国内の営業部隊を統括している中島本部長。現状の課題は。
中島 社内の営業、サービス部隊の連携は当然ですが、他のメーカー、代理店との協業をより強化していきたい。お付き合いのあるメーカーの中に流通・小売に強い会社があります。当社が今後より踏み込んでいかなければならないのがこの業界で、現状はまだまだだと認識しています。こうした会社と協力し、流通・小売業界が望んでいる声を反映し、製品化につなげていきたいですね。
――海外対応は。
中島 当社の売上げ構成の４割が海外となりました。海外は専門に担当している海外事業部がありますが、彼らが動きやすいように、国内からのバックアップも工夫が必要。ユーザーがボーダーレスになった今、日本と変わらないサービスを世界に向けて提供していかなければなりません。
――今後の目標を。
中島 昨年の後半以降、異物混入の問題などユーザーは大変な苦労をしています。そこで当社に何ができるか。クレームが起きないようなシステムを開発し続けるほかにありません。それが当社の存在意義なのだと強く感じています。
工場に人が介在するから間違いも起こりうるし、また故意に混入させる可能性も出てきます。それを、機械化（＝仕組み）によって防ぐことができるのだと提案し続けることです。それは一部では実現していますし、まだ実現していない部分もあります。その問題に挑戦し続けることで、日本の食品工場のレベルは上がっていきます。それが日本のスタイルとして定着し、海外にも打って出られる技術となることでしょう。そのサポートを当社はやり続けたいと思っています。