多様な食品の残留農薬分析をGC−MSで高精度に

 島津製作所は四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計用の食品中残留農薬データベース「Smart Pesticides Database Ver.2」を発売した。米国子会社SHIMADZU SCIENTIFIC INSTRUMENTS,INC.(SSI)内に開設したイノベーションセンターと共同で開発した。
 国内外で使用されている農薬530成分の分析条件を登録しており、簡便に最適な一斉分析メソッドが作成できる。農薬分析に最適な推奨の試薬、前処理キット、消耗品を用意しており、試料の前処理から分析まで多様な食品の残留農薬分析をトータルでサポートする。
 税別、データベースのみの価格で25万円。

 食品の残留農薬分析市場では、生薬などの植物材料を利用した健康食品が欧米を中心に拡大しているため、測定対象が生鮮食品、加工食品、サプリメントなどの健康食品にも広がっている。これにより、食品の残留農薬分析法の開発が進んでいる。しかし加工食品や健康食品は、一般的に生鮮食品に比べ多くの夾雑成分が含まれている。また乾燥などの処理によりさらに夾雑成分が濃縮された食品や健康食品では、試料の抽出・精製などの前処理、高精度な分析が難しいという問題がある。  
 通常の生鮮食品では、食品流通の国際化の拡大から生産国であるアジアや新興国で、高精度に、簡単に残留農薬を分析したいニーズが高まっている。
 これらのニーズに対応するため、米国のSSIイノベーションセンターと協力することで、海外農薬にも対応し、夾雑成分の多い試料でも高精度に分析可能なデータベースを開発した。SSIではNACRW(North American Chemical Residue Workshop)やAOAC(Association of Analytical Communities)などの農薬分析に関連する学会との関係強化に取り組んでおり、これらの活動の中で植物材料を利用した健康食品の新規試験法の評価に協力する。
 試験法ではトリプル四重極型GC−MSの利用を指定しているが、開発したデータベースが新規試験法の評価に貢献できると期待している。シングル四重極型GC−MSの情報も登録しているので、残留農薬分析ニーズの高いアジアやその他新興国にでも低コストで運用できる。