新型ブラストチラーで冷却調理を実演
セミナーなど連日開催、稼働率は100%
福島工業 東日本支社 F’S DESIGN COURT

ブラストチラー(手前)をはじめ凍結機などの
設備が並ぶ

 福島工業はショールーム「F’S DESIGN COURT(エフズ デザイン コート)」を大阪本社の他、全国6カ所で展開している。最新機器の展示や食材試験、調理デモンストレーションなどを行う多目的施設だが、特にブラストチラー、ショックフリーザーを使った「冷却調理セミナー」は各地で活発に開いている。

 東京都台東区の東日本支社は7月27日に体験型の冷却調理セミナーを開催した。外食店や高齢者施設の調理担当者ら5名が参加し、実際にスチームコンベクションオーブンやブラストチラーを使って冷却調理を体験した。
 冷却調理は福島工業が提唱する新たな調理法で、急速冷却・急速凍結を通して最適な温度管理を実践するもの。単に「冷やす」、「冷たい料理を作る」ことではない。クックチルやクックフリーズなどの新調理システムでも料理を冷却して保存するが、福島工業の冷却調理のポイントは最適な調理の仕方や冷却方法によって、おいしさ(品質)をキープし、安全性と作業効率も同時に図れること。
 セミナーではスチーム野菜や親子煮、大根とツナの煮物、はちみつレモンとヨーグルトのデザートなどを調理した。中でも親子煮は玉子の調理が難しく、これまでに参加者の要望が最も多かったメニュー。「私たちも何十回と試行錯誤してようやくおいしく作れるようになった」(フーズコンサルタント室の市川知美氏)という。

   パネルを使ってわかりやすく解説

    ブラストチラーで粗熱を取る

 食材は変わらないが、調理の組み立て方は通常の親子煮と全く異なる。これはスチコンで加熱後にブラストチラーで冷却し、スチコンで再加熱した時に玉子がふわりと仕上がるために考え出した調理法。手間もかからない。
 また、鯖の塩焼きはスチコンで庫内250℃・芯温85℃の設定で加熱した後、ブラストチラーで一気に粗熱を取る。これは余熱によるオーバークッキングを防ぐ目的や、自然冷却では蒸気と一緒に逃げてしまう香りやうま味を封じ込めるねらいがある。
 市川氏は「冷却調理はこれまでの調理に対する考え方を変えることになるが、品質や作業効率、安全性に対する効果は確か。今後もセミナーを通して広く知ってもらいたい」と語る。調理後の試食会で参加者は料理のおいしさに一様に納得。冷却調理に対する理解を深めた。

   スチーム野菜をきれいに盛り付け

    セミナーで調理した各種メニュー

一括仕入れでコストダウンも可能に

    操作パネルは漢字表示で見やすい

 東日本支社のエフズデザインコートは2004年に開設した。その後、食材試験や調理デモ、各種セミナーを連日開いており、プライベートセミナーや勉強会まで含めると、「おかげさまで稼働率は100%」(田本景子フーズコンサルタント室長)だという。
 室内にはブラストチラー/ショックフリーザーをはじめ、急速凍結庫、クリーン解凍庫、製パン製菓用のドゥフリーザー、ドゥコンディショナーなど各種機器を展示している。
 セミナーで活用した自動洗浄機能付きブラストチラー/ショックフリーザー(QXシリーズ)は庫内を−40℃まで設定することができる。英国保健省が示す新調理システムの衛生ガイドラインでは、加熱調理した食品は30分以内に冷却・冷凍を開始し、冷却で90分以内に芯温3℃以下、凍結で90分以内に芯温−5〜−18℃まで引き下げる必要がある。QXシリーズは漢字表示の見やすいパネルでいずれの温度設定も簡単に操作できる。
 今回のセミナーでは、フライ後にショックフリーザー機能で30分内に芯温−20℃まで急速凍結したえびのてんぷらを再加熱してメニューとして出した。冷凍庫で1カ月前から保存したものだが、えびのうま味をしっかりと味わうことができた。
 市川氏は「素材に合わせて冷却か冷凍かを使い分け、上手に組み合わせることが重要」と強調する。メニューの計画に合わせて、食材を一括仕入れ、長期保存することが可能になるため作業効率化やコストダウンも実現するという。
 福島工業は冷却調理セミナーやスチコン・ブラストチラー活用セミナー、衛生管理セミナーなどを各地で積極的に開催している。セミナー情報は同社ホームページで確認することができる。

  福島工業の東日本支社ビル。エフズデザインコートは1階にある