焼却時にCO2を吸収・削減するラベル
サトーと理科大ベンチャーが開発

 自動認識システムやシール・ラベル製造のサトーは、東京理科大学の阿部正彦教授を中心とするベンチャー企業アクティブとともに、焼却時に発生するCO2を吸収するラベルの開発に成功した。世界初の事例という。
 阿部教授の研究グループが開発した「NVC(ナノベシクルカプセル)技術」により、「CO2吸収剤」を粘着剤に添加してラベル化。これにより、焼却時にラベル自体のCO2発生量を減らすだけでなく、周囲のCO2も吸収していることを実験で確認した。
 東京理科大学のTG/DTA分析によると、NVC化されたCO2吸収剤を粘着剤に使用したラベルは、添加していないラベルに比べ、焼却時に発生するCO2を20%以上削減する効果があるという。
 CO2吸収剤は100ナノメートル以下のカプセル状の物質。CO2吸収剤をナノ分散させることで反応する面積が増加し、効果が向上する。ナノサイズの孔が開いており、高温でも融解や気化することなく、焼却時に発生するCO2と反応して固定し、結果的にCO2排出量を大幅に抑制できる。
 NVC技術によるCO2吸収剤は、ショッピングバッグやプラスチック製ダンボールに応用して製品化されているが、ラベルとしての製品化は世界初。
 「CO2吸収剤を使用した粘着剤を、台紙のない“ノンセパ”ラベルに応用して製品化する」(サトー)。ノンセパは産業廃棄物となるシール・ラベルの台紙を省いた環境保全に貢献する製品であることから導入企業が増加しており、「CO2吸収剤を添加したノンセパを新たに商品化することで、環境保全製品を一層充実させる」(同)としている。