カット野菜伸張、コールドチェーン整備が後押し、10℃以下を維持

 パックしたカット野菜を購入する人が増えている。カット野菜を手がけるキユーピーグループのサラダクラブによると、鮮度の高い野菜の調達と加工が可能となり、消費者ニーズに細かに対応できるようになったためだという。同社では新鮮さを持続させる「コールドチェーン」に技術を集結させている。

 同社の「2010年度サラダ白書」によると、カット野菜の利用経験者は男性53.8%、女性55.9%で、特に20代は男女とも六割を超えている。さらに、40代女性は七割近い人が利用しているという。少子高齢化や女性の社会進出などにより、カット野菜の利用はさらに広がると見込んでおり、それに呼応するように同社の売上高は62億円(2005年)、90億円(07年)、110億円(09年)と着実に推移している。

千切りキャベツを目視でチェック

 カット野菜は鮮度が命であり、その命綱であるコールドチェーンを整備しなければならない。野菜は収穫後も呼吸している。そのため収穫したキャベツをそのまま段ボール箱などに輸送すれば、箱の中の温度は上昇し、鮮度の低下の原因となる。そこでキャベツなどの葉物野菜は収穫後、直ちに5℃に冷却し、休眠させ、呼吸を抑えて低温処理し(予冷)、採れたての鮮度と衛生状態を保持させる必要がある。
 同社では中河原工場(東京府中)、伊丹工場(兵庫県伊丹市)、五霞工場(茨城県猿島郡)、鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)、真庭工場(岡山県真庭市)の直営工場に加え、協力工場5カ所の計10カ所の工場が稼働。各産地から予冷されたキャベツは冷蔵トラックに積まれて運ばれる。

 品質や温度を確認し、産地名をバーコードに入力。外側の葉と芯を取り、千切りにする。他の野菜の場合は決められた大きさと長さにカットする。ベルトコンベア上を流れる千切りキャベツを目視でチェックし、その後洗浄。低温を保つために水温は5℃。脱水、計量して充てんへ。パッケージには自動的に産地名が記載されるので、使用した野菜の産地をたどることができる。検品、箱詰めして出荷する。

箱詰めして出荷。その後の工程も温度は常に
10℃以下。これが新鮮さを持続させている

 このように工場で加工する間も、冷蔵トラックでスーパーやコンビニで運ぶ間も、さらに冷蔵ショーケースに並べる間も、温度は常に10℃以下。これが新鮮さを持続させている。衛生面でもカット野菜はカットされているため、まるごとの野菜に比べて品質低下を招きやすくなっている。まるごと野菜に負けない鮮度を維持するためには、コールドチェーンが欠かせないという。
 「カット野菜をコールドチェーンに乗せるうえで、最も難しいのが収穫後直ちに冷却することと加工・流通過程における低温管理。ただし、新鮮な野菜を入荷しなければ、加工・流通でいくら低温管理を徹底させても新鮮な商品は店頭に並ばない」(同社)とし、今後も確実に新鮮や野菜を調達できる仕組みとコールドチェーン整備を充実させていくという。