阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −6−
HACCPシステムの特徴

(1)食品の安全性を向上

 (1)第一に食品HACCPシステムは食の安全性の向上を目的として食中毒や異物混入などによる健康被害の発生を事前に予防するためのシステムである。
 問題が発生した原因調査や事故対応のシステムではない。

 (2)原料から最終製品までの工程管理
 このシステムの衛生管理は原材料から最終製品までの工程管理が基本になる。原料は調達先(国内・海外)・産地・品種・栽培・養殖管理の確認。

 (3)科学的根拠に基づくシステム
 全工程、特に使用原料に注意して、科学的根拠により明らかにされた健康危害要因について、特定された工程を科学的根拠に基づいて集中的に管理する。

 (4)マニュアル化:7原則12手順(次回詳細説明)
 管理はだれでもわかるように手順に沿ってマニュアル化したHACCP計画(プラン)に従って行なわれる。

 (5)記録化(文書化)
 手順に沿った測定・管理の結果は必ず記録に残す事、公的な証拠として大変重要な記録となる。
 HACCPシステムの食品製造の現場に導入・実践により、人の食品取り扱いミスは限りなく減少し、食中毒・異物混入などの食品による健康被害の発生を極小化することが可能となる。

(2)HACCPとISO22000との違い

 ISO22000について、日本でも認証を受けている食品メーカーが大手を中心に普及しつつある。
 
 HACCPとの違いは、
 (1)対象:農業や漁業等の一次産業、小売り食品、食品関連企業と広範囲、
 (2)ISO22000=HACCP(食品安全)+ISO9001(品質マネジメント)

 従来、中国政府は輸出企業に対しISO9001とHACCPの2つの認証を取ることを必修としていた。ISO22000は同時に2つの認証を満足する。しかし取得する手数料・継続審査料が高額で、日本ではなかなか普及していない。