味の素、カルピスをアサヒGHに売却

 味の素(伊藤雅俊社長)は100%子会社カルピスの発行済全株式をアサヒグループホールディングス(泉谷直木社長)に譲渡すると8日発表した。これによりアサヒGHは飲料事業の売上高が4000億円になり、伊藤園を抜いてコカ・コーラ、サントリーに次いで業界シェア3位に浮上する。実質的な譲渡額は900億〜1000億円になる見通し。譲渡日は10月1日。

握手する味の素の伊藤社長(左)と
アサヒGHの泉谷社長

 アサヒGHの泉谷社長は8日の会見で「カルピスとは経営理念が近い。乳酸菌飲料事業では断トツのブランド」とカルピスのブランド力を高く評価した。今後、アサヒGHとアサヒ飲料、カルピスの3社で協業推進委員会を立ち上げて詳細を詰めるが、当面、カルピスの現体制は維持する方針。
 味の素の伊藤社長は売却理由について「コア事業の調味料・食品、先端バイオ・ファイン関連に経営資源を集中するため」と説明した。乳酸菌を使った新しい技術の開発をめざしたが、「難しいことが分かった」(伊藤社長)のも理由の1つに挙げた。