東日本大地震と津波、冷食業界にも大きな被害
沿岸部の工場多数が津波で操業停止、連絡不通も

 11日午後発生した東日本大地震で、東北の沿岸部を中心に、東日本の広い範囲で冷凍食品業界にも大きな被害が出ている。
 宮城県沿岸部の冷食工場や冷凍倉庫、物流施設では津波の被害を受け、設備が冠水。多くの工場で15日現在、操業をストップしている。日本水産の女川工場では従業員の安否が15日朝の時点まで確認できない。
 ヤヨイ食品の気仙沼工場では従業員ら約350名が孤立して安否確認ができず、懸念されていたが、16日午前までに、工場内にいた全員の安全を確認した。
 ヤヨイの工場は気仙沼港の岸壁の目の前にあり、同市内でもシンボル的な建物。地震発生直後から300〜400名の従業員と一部市民が工場内に取り残され、外部と接触できない状態が続いていた。
 従業員らは震災直後、第3棟3階とオムライス棟4階に非難し、発生直後は本社と連絡がとれたようだが、その後、連絡が途絶えていた。
 
 日水の女川工場は従業員137名と外からの出張者3名、同じ敷地内にある女川油脂工場は従業員21名のうち出張中の2名を除く19名、合わせて159名と15日朝の時点でも連絡が取れず、従業員と家族の安否確認ができていない。女川町は津波が町内全域を襲い、町役場も水没して機能が停止したと報じられる今回の地震で最も被害の大きかった地域の1つ。日水の工場も津波で甚大な被害を受けたものと考えられる。現地関係者の安否が懸念されている。
 日水グループ会社、ハチカンの久慈工場(岩手)も津波の影響を大きく受けた。
 ハチカン本社工場(八戸)、モガミフーズ(山形)と船橋地区の直営、グループ工場にも内部に損傷があり、電気、物流等のインフラの影響もあるため、いずれも「復旧にはしばらく時間を要する」(同社)と見ている。