キユーピーは独自の新技術を導入し、グループ全体の環境対応分野で大きな効果をあげている。
小袋入り調味料の製造販売を行なっているケイパックでは、「ジュール加熱」技術を利用した殺菌機を導入したことにより製品切り換え時の原料の廃棄量が従来の１／６に減った。
「ジュール加熱」は食品に電気を通すことで、食品を直接発熱させる加熱技術。
ジュール加熱殺菌機は、従来の殺菌機よりも構造が単純化されている事から切替時の作業時間を大幅に短縮できる。また殺菌機内に残った原料の廃棄量を約６分の１に削減することができた。
ケイパックでは作業者の負担を減らしながら、廃棄物削減にもつながるこの殺菌機の導入を進めている。
マヨネーズに使う醸造酢などを手掛けるキユーピー醸造では、滋賀工場で酢酸発酵の際に利用していた冷却水を循環利用するように切り換えた。
発酵機で温められた冷却水を加温タンクの加熱用に繰り返し使うことで、水の使用量だけでなく、加温時のエネルギー消費量も節約できる。
滋賀工場では設備を導入した最初の６カ月間だけで、水の使用量が1.6万㎥減った、という。これは風呂の湯量に換算すると約８万杯分に相当する。環境への負荷軽減だけでなく、コスト削減にもつながった。
環境だけでなく「人にやさしい」モノづくりも進めている。
主力商品のレギュラードレッシングには次のような細かな配慮が行なわれている。
(1)瓶のラベルがはがしやすい(2)中栓が取り外しやすい(3)ラベルに分別方法を記載(4)瓶全体の重量を1992年と比べ約40％軽量化した。
今年２月からは日本で初めてドレッシング容器に点字の表記を入れた。
マヨネーズ等の主原料となる卵は、日本で生産される鶏卵の９％を同社グループが利用しているが、ここで発生する卵殻も全て無駄なく有効利用している。
卵殻粉はカルシウムが吸収されやすく、作物に必要な微量要素を含むため、主に肥料として使われる。土壌改良剤として畑に施肥するほか、滑り止めのため靴のゴム底にも利用されている。
卵殻膜を取り除いた卵殻粉は多孔質な構造になっているため、消化吸収に優れたカルシウム補給源として、栄養機能食品、育児食のおやつなどに使われる。学習用チョークとしての用途もある。
卵核膜は皮膚に有効な生理活性を持っており、シスチンをはじめアミノ酸を豊富に含んでいる。そこで化粧品原料、栄養補助食品、うまみ調味料などに使われる。ストッキング、洋服生地などにも利用されている。切り傷を負った場合など、卵核膜を貼ると回復が早いことが知られている。
キユーピーは保有技術を生かし環境対応に先駆的に取り組んでいる。