野口正見の「5S活動による食品工場改善」 −35−
「あいさつ」からすべてが始まる

 あいさつは朝の「おはよう・おはようございます」から始まる。その日の会社の連帯のきっかけとなる。したがって、当たり前だが朝礼の第1声は「おはようございます」となる。

     野口正見氏

 ただし元気よく唱和されなければならない。気合が入っていなければリーダーはやり直しを指示しなければならない。この後、連絡、安全注意、報告、予定などのコミュニケーションをし、気持ちよく仕事に入れる。1日の大切なスタートダッシュの号令である。
 筆者は「おはよう」のあいさつは従業員より早く笑みを浮かべ、声をかけるようにしていた。上司が率先垂範することにより、社内にあいさつは定着し、習慣化される。
 中にはあいさつに慣れていない、恥ずかしいと思っている人がいる。こちらから声をかけても返答がない人もいる。しかし、ここで怒ってはいけない。毎日繰り返し声をかけていると、ある日小さな声で「おはようございます」と言うようになる。声はだんだん大きくなり、笑みも浮かべるようになる。
 属するチームメイトにあいさつしても、最初は返答がなかったはずで、不愉快な思いをしていたらしく、大きな声であいさつを交わすことを喜び、仕事が楽しくなったようである。
 無口な彼らと筆者との距離感はあいさつを通じて次第に縮まり、会話が進み、貴重な情報も得られるようになった。このようにして「おはよう」は定着していく。
 躾には辛抱がいる。あいさつができない従業員が1人でもいると定着、習慣化は実現できない。せっかく築きあげても時間が経つと崩れてしまい、躾の出来ていない会社となってしまう。

 あいさつの出来る集団は大人の集団であり、信頼できる。