サプライチェーンのCO2排出量取引を実証実験

 国立情報学研究所凸版印刷日本ユニシスセブン&アイ・ホールディングスはICTを活用したCO2排出量取引の新たな取引手法の実用化を目指すコンソーシアム「サプライチェーン環境貢献技術検討協議会」を24日設立した。来年2月にポッカコーポレーションなどの飲料メーカー各社の協力を得て、個人レベルのCO2排出量取引に関する実証実験をイトーヨーカドーの店舗で実施する。これは個人レベルの排出量取引に関する世界初の実証実験となる。

 商品の製造者または販売者の環境貢献を、商品添付の排出権として、消費者などサプライチェーンの川下側に渡るようにし、消費者は地域や学校にその排出権を寄付することによって、地域に環境貢献を還元できるようにする。
 紙製飲料缶「カートカン」を使った飲料品に、排出権を表すPRタグ(またはバーコード)を添付し、商品購入者に対して排出権口座を提供する。購入者は飲料品を購入後に、そのRFタグを店頭に返却すると、その排出権が購入者自身の口座に移転される。
 購入者は自らの口座にある排出権の使い方を選択できる。実験では地域または学校などに排出権を寄付する方法を検討しており、RFタグの回収に関しても地域学校の協力を前提に、排出権を収集・利用する方法を検討している。ベルマークと類似した方式による回収方法となる模様。

 現状の排出量取引は煩雑な電子手続きが必要であり、その取引単位も大きいため、参加者は一部の大企業か専門商社(カーボンプロバイダー)に限られ、個人や中小企業が排出量取引をすることは事実上不可能になっている。
 一方、同研究では、RFタグにより小口排出権を表せるようにし、さらに簡単な決済手法を提供している。この手法により、例えば排出権付き商品の購入を通じて、個人が排出権を貯めることや、RFタグの受け渡し、口座間の移転により排出量取引をすることができる。個人レベルの排出量取引に関する実証実験は世界初となる。